【歌い手】吸血鬼の館で家事、始めました。第1章【吸血鬼】

吸血鬼が31人 ページ33

「っっ!!」



言葉にならない程の痛みが私を襲った。

るすとそらるさんとはまた違う痛みだ。



息がしづらく苦しい。


「く、首筋は...だ...めだっ...て...!ん!?んー!!」


突然口を手で塞がれ上手く言葉を発せなくさせられる。


「ごめん。隣のうらたさんに聞こえちゃうから」





再びごくごくと私の血を飲み始める天月。

彼の髪があたりくすぐったいが、とうぜん痛みのほうが勝っていた。






...死んじゃわないよね。

さっき忘れたはずの不安の気持ちがまたふつふつと湧いてくる。


生き物は体の中の血がなくなれば即死。


当然私も生きているので同じだ。




吸血鬼は血を飲み干して人殺しをする生き物で、その吸血鬼と暮らすということはいつも死と隣り合わせという事。



実際今も吸血鬼に血を吸われている訳で、相手が天月だともいつ殺されてしまうか分からない。



頭に浮かぶ物は全てマイナスの方向へと行ってしまう。



「っ！」



また涙が出て来てしまった。



もう痛みや抵抗力はどこかに飛び、今はただただ自分が情けなかった。




天月は私の異変に気付いたのか、顔を上げ目を少し見開く。


まさかここで泣かれるとは思わなかったのだろう。





「ごめん‼そんなに痛かった⁈本当ごめん‼」


私の腕を掴み上半身を起こしてもらう。

するとギュッと天月に抱きしめられた。



「違うの…！天月が悪いわけじゃない！泣き虫の私が悪いの。ごめん」




全てをマイナスに持って行く私が悪いんだ。

この癖直さないと…

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