SEVENTEENの紅一点 3 (ページ44)

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ウジとピアスの話ページ44

woozi side

公演まであと1時間。
Aの故郷である日本でのライブも、年を追うごとにだんだん慣れてきた。片手では数え切れないほどの数をやってきたからだろうか。

会場も知っているところが多くなったし、言葉も前よりはわかるようになってきた。
…と言っても、自分は積極的に学んでいる方じゃないからまだまだだけど。

日本での公演は、韓国でやるのとはまた雰囲気も違う。最初はわからないことだらけで不安だったのに。

今では「海外」という括りからなんとなく脱却しつつある気がする。安心できる場所になってきたというか。

どこに行ったって応援してくれる人たちに囲まれた空間というのは気分が良いもので、だからこそ自分の全力で愛を返したい。
そういう気持ちの面では、変わらない部分もある。

ケータリングからいくつか見繕って控え室で食べていると、ドギョミも同じようにトレーを持ってきた。

「ヒョン、よくそんなに食べるね」
「食わなきゃ力が出ない」

日本食と韓国のカップ麺に囲まれた俺を見て、ドギョミは呆れたように笑う。
仕方ない。リハーサルで消えた分とこれからの公演で消える分のエネルギーを補充しなきゃいけないのだ。

白い衣装に飛ばさないようにラーメンを啜り、汁まで飲んでやっと食べた気になった。

コーラを飲んで一息付いていると、『いたっ』とちょっと間抜けな声が部屋の端から聞こえた。
たしかそっちにはストレッチ中のAがいたはずだ。ドギョミと顔を見合わせてから声がした方を向いてみる。

「どうしたのA」

振り向いた彼女は右腕を不自然に上げたまま、眉毛をハの字にして俺たちのところにやってきた。

「衣装が引っかかっちゃって」
「ピアス？」
「そう、すっごく痛い。どうしよう」
「とりあえず見せてみろ」

俺が座っていた椅子を貸して座らせる。そっと耳元を見てみると、たしかに衣装の一部が引っかかっていた。

年末に突然開けた軟骨のピアス。開けた時も痛がっていたし、寝る時も毎度毎度痛がっていた。
なんで開けたんだか。

「取るから、動くなよ」
「はい…」

恐る恐るといった表情で下から見つめられるので、何としても失敗はできない。