第十話「派手なやつ」 ページ11
私は刀をギュッと握りしめて技を出す。けれど刀がすり抜けそうで、握ることだけに精一杯だった。打ち潮は鬼の首をすり抜け届かなかった。それを見た鬼は二ヘラとうすら笑みを浮かべた。私の右腕が使えないことが分かったのだろう。
「お前、右腕が使えないのか」
「っ…」
私は片方の腕で自分の右腕を抑える。ただのお飾りの腕は宙に浮いているだけ。大丈夫。心を落ち着かせて。フゥと深く深呼吸するけれど内心焦ってるのが自分でも分かった。怖い、とてつもなく。攻撃が来るのに、刀を握れない。
鬼はそこまで来てる、やられる!!
私は覚悟を決め接近戦を試みる。技は使えなくとも刀は握れるんだ、やるしかない!迫り来る鬼を私は迎え撃とうと刀を振り上げた時、
「え…」
鬼の首は、既に斬れていた。自分が斬ったのかと錯覚したが私の振り上げた刀は未だ振り上げられたままだ。どうして鬼の首が斬れた?私は崩れ行く鬼の体を見て混乱した。
「度胸のある女は好きだぜ、派手でいい感じだ」
「!」
私はその声を聞いてタラリと冷や汗が垂れた。この声といい、“派手”を使う鬼滅の刃のキャラクターを私は知っている。
声がした方を見ればそこには刀をしまっている鬼殺隊の文字。原作の派手さは未だにないが、その顔といい体格といい、まさに原作から出てきたかのようだ。いや、原作の世界なのだから当たり前か。
なんて冷静に考えていたけれど、その人は私の右腕をガシリと掴んだ。
「で、早速問うがお前はなぜ鬼殺隊でもないのに呼吸を使えるんだ?」
喉の奥がひゅっと鳴った。月光に照らされ白銀の髪は揺れめいている。目元の化粧はまだなく、幼さもどこかあった。
そう、そこには宇髄天元がいた。
どうしてこんなところに音柱が…?いいや、時系列で考えると宇髄さんはまだ音柱でないのかもしれない。会うべきではない原作のキャラと会ってしまった。私はもう原作のキャラとは関わらないとは思っていたけれど人生何があるか分からないものだ。しかも宇髄さんは私を警戒している。そりゃ一般人が呼吸使えば驚くだろう。それに宇髄さんは元忍で人一倍警戒心が強い。
逃げようかと思ったがこの人から逃げるのは不可能だ。
「答えられないのか?」
さあ、どうしようか。
___
ひええー、いつのまにか評価が100をこえ、お気に入り数1000超えありがとうございます!
3466人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
❤︎ - 面白かったです〜!!!最後には少しうるっときました…笑もう3年も更新されていない事に驚きです。続きが気になる〜〜!!何年でも待つのでまた更新してくれたら私含め読者達ありがたいです!待ってますね。 (8月24日 21時) (レス) @page41 id: f6dfc22ed3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ - めっちゃ面白いです!!!更新待ってます!!!!!!!! (2022年3月22日 22時) (レス) @page41 id: 4673827fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 続き!続きはどこ?!ねぇ?!((やかましい (2022年2月26日 21時) (レス) @page41 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
とうめい - 終わっちゃった〜…続きが気になります…更新待ってます!! (2021年10月3日 12時) (レス) @page41 id: 4fdb593f0d (このIDを非表示/違反報告)
りあむ(プロフ) - 終わり!?更新待ってます、、、 (2021年10月2日 20時) (レス) @page41 id: 5dcfb8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:桜餅 | 作成日時:2019年11月17日 20時