IceTea kwkm ページ4
大学の近くの喫茶店でバイトをしている私。まだ働き始めて間もないけれど、常連さんの顔はだいぶ覚えてきた。
｢アイスティーひとつ下さい｣
｢はい、330円になります｣
その中の一人が、この金髪の男性。最初のうちは心の中で赤髪さんと呼んでいたのだが、コロコロ髪色が変わるので今の呼び名は派手髪さんだ。
アイスティーを準備して、ストローをさして派手髪さんに差し出す。
｢お待たせしました、ごゆっくりどうぞ｣
無言で会釈して、席について文庫本を広げる派手髪さん。髪色はチャラそうなのに、読んでいる本はいつも純文学や日本語に関する専門書。
｢あ、あの人また来たね｣
お客さんの対応の合間を縫って、店長が話しかけてきた。
｢Aちゃんのいるときによく来るんだよね、Aちゃんに気があるんじゃない？｣
｢まさか、派手髪さんカッコイイし他に彼女いますよ｣
｢あ、やっぱりカッコイイと思ってるんだ。Aちゃんの視線の感じ的にそんな気はしてたんだよね〜」
｢別に意識してる訳じゃないです！ほら店長！お客さん来ましたよ！｣
話好きの店長を上手く巻いて、静かに本を読んでいる派手髪さんをぼんやりと見る。
長い前髪に隠れた綺麗な目。ページをめくる綺麗な指。そして読んでいる本から分かる聡明さ。意識してみると、派手髪さんはかなりのハイスペック男子だ。
｢ほら、また見つめちゃって｣
｢店長〜！！｣
またも店長に茶化されていると、派手髪さんが席を立って、こちらの方に歩いてきた。
｢ほら、Aちゃん｣
店長に押されてレジの前に立つ。ただ応対するだけなのに緊張が走った。
｢アイスティーもう一杯いいですか？｣
｢かしこまりました、330円になります｣
派手髪さんがお財布から出したのは、百円玉3枚、十円玉3枚と、小さな紙一枚。
｢お客様、こちらは…｣
派手髪さんは唇に人差し指を当てて私を制した。あなたに、と唇が動く。とりあえず紙をエプロンのポケットに入れて、今までで1番急いでアイスティーを準備した。
｢お待たせしました、ごゆっくりどうぞ｣
派手髪さんが席につくのを見届け、貰った紙を開くと、綺麗な字でメールアドレスと彼の名前が書かれていた。
｢あらら、積極的な派手髪さん｣
からかってくる店長はさておき、驚いて派手髪さんの方を見ると、バッチリと目が合った。
ニコッと笑った派手髪さん、いや、川上拓朗さん。彼を見る度に心臓がうるさくなるのはなぜだろう。
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カルボン(プロフ) - ぶっく。さん» 正直言うと、須貝さんあたりで｢あれ、あと二つもいけるか？｣ってなっていましたが、頑張りました！（笑）ぶっくさんもさいかいからあい完結おめでとうございます。楽しみに読んでおりました！ (2020年3月31日 12時) (
レス) id: 6c016596a7 (このIDを非表示/違反報告)
カルボン(プロフ) - はるむににさん» 無事完結しましたー！！今まで私の書くこうちゃんはだいたいヘタレだったので、今回は趣向を変えて。。｢大人になったんだね｣っていう言葉から着想しました！ (2020年3月31日 12時) (レス) id: 6c016596a7 (このIDを非表示/違反報告)
カルボン(プロフ) - フェレットさん» 今作も毎日コメントありがとうございました！！本当に支えられております。次作も是非！よろしくお願いしますね！ (2020年3月31日 12時) (レス) id: 6c016596a7 (このIDを非表示/違反報告)
ぶっく。(プロフ) - まず喫茶店テーマで7作品もこんなに綺麗に書けるカルボンさん、めちゃくちゃすごいです…！どの話もふたりの距離感がなんだか優しくて大好きです。これからも応援しています！ (2020年3月30日 23時) (レス) id: 19fcfdccc5 (このIDを非表示/違反報告)
フェレット(プロフ) - かっこ良いこうちゃんは大好きです！次回も楽しみにしてます！ (2020年3月30日 12時) (レス) id: 88923771a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カルボン
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年3月20日 0時
