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072:親友 (haruka) ページ23

感動の再会

もう何年もこんな時間を過ごしてなかった気がして

気付けば24時を回っていた。

尽きない話に

後ろ髪を引かれながらAちゃんが帰った後

後片付けをしながら

ユノの事を考えていた。





日本に帰る前

福岡の空港で会ったあの女の事は

未だ、誰にも話せないでいる。

なぜか、ユノにも言えない。

それは、ユノのアルバムに彼女の姿を見つけたからだ。

彼女が言ったように、

2人はずいぶん古い写真の中でも楽しそうに笑い合っていた。





複雑なのは、

ユノにとって彼女が、大切な存在かもしれないという事だ。

それは、もちろん恋愛感情が混ざるものじゃないだろう。

だけど、友情は時にそれを上回る事を

私は知っている。

友情だと思っていた気持ちが

実は形の違うものだと知ったら

それは、何をも凌ぐ『想い』になるのだ。





ユノは

帰国後、一度も家に戻らない。

それどころか、連絡すらない。





福岡の空港で、彼は私がお土産を選んでいる間に

いつのまにかどこかに行ってしまった。

気を失って目覚めた時

心配そうに私を見ていた

あれは、夢だったのだろうか。





「何考えてるんだろ…」





どんどん深みに嵌まろうとする自分が情けない。

刻一刻と、結婚式の日は近づいているというのに。

誰より愛されていると感じた

あの夜を、もう信じられなくなっているなんて

ユノが知ったら

きっと怒る。





信じて待つだけだ。

私は、ここで

ただ、そうするだけ。





『おやすみ』





一言だけ、ラインしてみた。

返事は来なかった。

だけど、信じる。





そうやって私の時間は

ただ過ぎて行った。






信じる

信じる

信じる





「だけど、いつまでだろ…」





人間は

そう簡単に変われない。

一度孤独に飲み込まれた人間なら

尚更だ。





一人のベッドは

あまりに広く、虚しく

今日も静かに、私を包み込む。

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作成日時:2017年11月6日 23時

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