レベル57-past edition- ページ9
王家が滅んだ中、支持されたのは優良なオスワルト家のガルダだった。
国の安寧を思い、国民を導いてくれた国王が居なくなったこの国で信頼できると国民が思ってくれたにも関わらず、ガルダは自身の野心の為に期待を裏切った。
国民は思いもしないだろう、一夜にして地面に設置された地雷がガルダの指示による物だという事を。何も知らない幼子ですら、爆発の餌食になっては還らぬ命となっていく。
「ぅ、ぁ、あぁぁぁぁあ"あ"！！！」
一つ、また一つと命が消えていく。あんなに響いていた国民の悲鳴が少しずつ小さくなっていき、遂には聞こえなくなった。建物は無惨に崩壊し、穏やかな国は一瞬で死んだ。
守れない、何一つ。大切なものは全て壊されてばかりだ。
目の前の兄を生かしてはいけない。手を汚してでもここで自分が殺らなければ。
家族の縁を切る覚悟で歯を食い縛り、涙で歪む視界にぼんやりと映る血を分けた兄に襲い掛かる。しかし病弱なリーズが殴ってもガルダはびくともしなかった。
容赦なく組敷かれ、何度も殴られた。それでも殺されはしなかった。
兄弟としての恩情だとでも言うのか。虫酸が走る。いっそ殺せ、という思いはリーズの口から出ることは無かった。
「お前とはもう縁を切る。生きるも死ぬも勝手にしろ。
あァ、死にたくても俺は手を貸してやらないぞ？この手は汚したくないんでね」
酷く冷めきった目でリーズを見下ろした後、崩壊した街の方へと歩いていくガルダ。きっとこのまま海に出てしまうのだろう。
「っ、くそったれ······！！」
不甲斐ない自分に、極悪非道に成り果てた兄に。
殴られた際、口を切ってしまい血が口許から溢れる。そのまま体内の血が全て出てしまえばいい。そうすればもう何も考えず、眠れるのだから。
ああ、けれど、このまま死んでしまえば、この後悔は消えることがないだろう。
そう思ってしまうや否や、リーズはどうしても死ぬ覚悟が出来なくなってしまった。
「······そうだ」
まだ出来る事はある。病弱でも、力が無くても、人より優れた記憶力がある。
それだけが取り柄だと自負していた。それを今発揮しなければ。
リーズは最早家とも呼べない瓦礫から雨風を凌げる小屋を造り、墓石に使う石を集めた。
国民の名前は全員覚えている。一人一人弔ってやらなければ。
その気持ちだけが、この五年間リーズを生かした原動力だった。
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水飴(プロフ) - 琴葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます！とても励みになります···！ゆっくりと更新していきますので、気長にお待ちいただけると嬉しいです！ (7月31日 10時) (
レス) id: bc02f2c7ae (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - この作品を何度読み返しても､心の動きに惹かれ検索をかけても無意識に辿り着く作品です。ONEPIECEを最近知り､パンクハザード編を見終えた新参者ですが、更新これからも楽しみに待っています。どうかご自身のこと優先でお体に気をつけてお過ごし下さい…！ (6月25日 8時) (レス) @page16 id: 2a7eef1005 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - もちふわさん» コメント有難うございます！ご指摘有難うございます、直ちに直させて頂きます！ (2022年11月13日 14時) (レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
もちふわ - 指摘です。前作のprofileのところの容姿のところにタトゥーや刺青って書かれてるけど、タトゥーと刺青は同じ意味ですよ。 (2022年11月13日 13時) (レス) id: 33de98826c (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょ＠テスト終了まで低浮上さん» さくちゃぁぁんありがとう〜！！私も予期してなかったけど続編行っちゃった！完結まで突っ走れるように頑張るねぇぇ！！！ (2022年10月9日 10時) (レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水飴 | 作者ホームページ：https://twitter.com/mxa_1031
作成日時：2022年10月8日 21時
