レベル56-past edition- ページ8
何の為に国民に対して優しく賢く在ったのか。
何の為にウィングバン王家に仕えていたのか。
幼い頃は確かに純粋に、王家の為を思って仕えていた。しかし生温い政治や王族の在り方に疑問を抱き、やがてそれは不満となった。もっと賢いやり方があると理解していながら、自分に手は出せないことがガルダにはとても不愉快だった。
そんな邪な感情がいつからかガルダを飲み込んでしまい、自分が国を支配すればいいと考えさせた。自分の汚名となる事は極力避け、人の手を汚してでも権威を手に入れたかった。
王位を持つ者は手を伸ばせば届く距離にいるのに、ただ生きているだけでは王位は決して手に入らない。もどかしい思いは肥大し、いつしか筋違いな恨みを自分でも気付かないうちに持っていた。
そして次々と亡くなる王位を持つ者。その周りにいる者。ガルダは悲しみを装って喜びを噛み締めていた。
自分が立てた計画で、こんなにも国は乱れていく。まるで自分が支配しているようだと感じていた。
あと少しでこの国の支配権を確実に手に出来た筈なのに
。その優越感は、近い将来の期待は、この一年で全て台無しになってしまった。
「・・・・・・」
こんな場所にもう用は無い。
虚な瞳を向けてそう呟いたガルダに、リーズはどうしようもない焦燥感を抱いた。しきりに声を掛けたが、反応が返ってくる事は無く、そのまま夜が更けた。
*
*
翌日、街に大きな爆発音が聞こえた。国民はその音に響めき不安そうに顔を歪めた。リーズもその一人で、音のする方向には王家以外立入禁止区域だったあの墓地だった。
嫌な予感が的中しているような気がして、急いで墓地へと赴くと、墓石であったはずの石の欠片が無様に飛び散り、地面は抉れていた。
「何、を・・・・・・兄さん!」
「俺に構っている暇があるのか?いずれ街もこうなるぞ?」
「!!」
その言葉で、ガルダがもう取り返しのつかない所まで性根が腐っている事を理解してしまった。誰も彼を止められない。この国で今頂点に立っているのは、皮肉にも目の前の彼なのだから。
次の瞬間、街の方で同じように爆発音が聞こえた。人の悲鳴と瓦礫の飛び散る音が耳に入る。
思わず街の方を見ると、瓦礫と共に人が爆風と共に飛ばされている光景を目の当たりにした。
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水飴(プロフ) - 琴葵さん» 初めまして、コメントありがとうございます!とても励みになります···!ゆっくりと更新していきますので、気長にお待ちいただけると嬉しいです! (7月31日 10時) (レス) id: bc02f2c7ae (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - この作品を何度読み返しても、心の動きに惹かれ検索をかけても無意識に辿り着く作品です。ONEPIECEを最近知り、パンクハザード編を見終えた新参者ですが、更新これからも楽しみに待っています。どうかご自身のこと優先でお体に気をつけてお過ごし下さい…! (6月25日 8時) (レス) @page16 id: 2a7eef1005 (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - もちふわさん» コメント有難うございます!ご指摘有難うございます、直ちに直させて頂きます! (2022年11月13日 14時) (レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
もちふわ - 指摘です。前作のprofileのところの容姿のところにタトゥーや刺青って書かれてるけど、タトゥーと刺青は同じ意味ですよ。 (2022年11月13日 13時) (レス) id: 33de98826c (このIDを非表示/違反報告)
水飴(プロフ) - さくにょ@テスト終了まで低浮上さん» さくちゃぁぁんありがとう〜!!私も予期してなかったけど続編行っちゃった!完結まで突っ走れるように頑張るねぇぇ!!! (2022年10月9日 10時) (レス) id: 4efe73e95e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水飴 | 作者ホームページ:https://twitter.com/mxa_1031
作成日時:2022年10月8日 21時