愛しい貴女に花束を【文豪ストレイドッグス】

太宰治　　　　ハナミズキ ページ5

Noside


今日は一世一代の大切な日だ。と太宰は一人自らの社員寮室の前で大きく深呼吸をした。
ポートマフィアの幹部であった頃からの付き合いである花恋に、婚約を申し込もうとしているのだ。


「……ふぅ」


もう一度大きく深呼吸をして扉を開ける。ポケットに手を入れ、指輪があるのを確認する。手に持つ花束を後ろに隠し、いつも通り明るい声を出した。


「たっだいま〜！」

『おかえり、治！』


声を発した瞬間、花恋がパッと輝くような笑顔で出迎える。太宰はそれに嬉しそうに微笑んだが、これからすることを考え、少し緊張した面持ちに変わる。


「…花恋」

『ん？なぁに？』

「まずは、これを受け取って」


ハナミズキでいっぱいの花束を渡された花恋は、不思議そうな顔をして太宰に今日は何かの記念日だったかと問いかける。太宰は苦笑してから、今からそうするんだよ、と真剣な顔でそう言った。


『今から？』

「そう、今から」




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