四十四 一冊の小説 ページ46
『…っ私の
『君は行くべきじゃないって…云うべきだった』
『君には小説の筆を握っていて欲しかった…』
そう云い私は軍刀を壊れ物に触るように触れた。
君は…生きるべき人間だ___________________。
不器用でごめんなさい___________________。
もっと上手に救える方法があったのかもしれないのに____。
『ごめんなさい…』
『異能力_星界の願い』
文字列が出てきても織田作を治すことはできない。
私は意思を掴もうとするが悔しくも一歩届かなかった。
また…失敗した。
『貴方は…小説を書いて…幸せになって…生きていたら私は』
『君の小説が読みたい。』
そんな事_叶うはずが無いのに
"両親を私の手で殺しても尚、人を救えるかもって
人を助けても自分の思想にただ巻き込んでいただけ。
結局強く見せているだけでは何も変わらない、何も知らない
けど善人を殺しては殺してはいけない…それは同じ…悪人を殺しても私は今でも忘れていない…名前…記憶…顔…全部…二百人超えた今でも"
でも…変わらなかった。
壊れたオルゴールを聞くように私は静かに彼等を見届けた。
嗚呼…もし君が今私の前に居て、止められたのなら…君は救われていたのかもしれない。
そんな慈悲事…もう通じないのに
もう一人の足音が聞こえてきた…幸い織田作はまだ息があった。
別れの言葉はせめて…彼が聞いて欲しい。
『織田作________っ!!!』
『別れの言葉は君が聞いて…少なくとも私が聞く意味は無い…』
彼とすれ違った。
彼は子犬のように肩を震わせ、反対側へと走って行った。
何故か目が霞んだのを妙に覚えている。
『私達の知らない大義の場所なら____君の知らない世界がある』
私は他者との間にあった見えない壁を壊すように下手くそな笑みを浮かべた。
『ゆっくり休んでね…織田作』
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作者名:黎明 | 作成日時:2023年9月2日 17時