第参拾伍夜・「ジュダル」 ページ43
「あー・・・そうだ。最後に"ジュダル"って、呼び捨てで呼んで。」
「最後・・・?」
問いかける。
すると、ジュダルさんは何も答えなかった。
『無言の肯定』
そっとジュダルさんの顔を見た。
今度は優しげに笑ってる。
悲しそうじゃない。
どうして?
「そんな・・・!! 恥ずかしいよ・・・」
なんて言って、ふざけてみる。
「え?! さっきから敬語じゃないのって俺のこと認めたからだよな?
俺のこと認めたのに呼び捨ては無理?!っつーか呼び捨てってハズいの?」
そうしたらちゃんとのってきてくれた。
ま、呼び捨てで呼ぶのが恥ずかしいのは本当だけど。
「紅覇のことは呼び捨てなのに?」
"紅覇"という言葉にぴくりと反応した両手で自分の耳を塞いだ。
「うるさーい。呼び捨てで呼んでやるから黙れー。」
「年上のジュダル様に向かってその口の利き方はなんだよ・・・
そんな口の利き方してたらお前の弱点、紅覇に言うぜ?
ま、でも呼び捨てで呼んでくれるなら黙っとくけどな」
「うーわ。自分で自分のこと様付けとかないわー。」
「ちょっと待て。敬語じゃなくなってから言葉遣い容赦ねえな!!!仮にも俺は年上だぜ?!」
そんな他愛もないことの言い合いを散々続けた。
―笑い疲れるまで。
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「はー! こんなに笑ったの久しぶりだー」
「ははっ! Aって結構面白い奴だったんだなー。
っていうか豹変っぷりヤバくねえか?
昨日まで世界の全てに絶望してますーって感じだったのにさ」
「えー、そんなことないよ。全てに絶望してるわけじゃないもん」
「でも、紅覇以外にも私を笑顔にしてくれるひとがいたんだね」
私は強く、強く抱きしめ返す。
あなたの言う、【最後】が
私の思う、『最後』ならば・・・・――
だけど、これが『最後』だと、思いたくない。
でも、もしこれが『最後』なら、伝えないと。
恥ずかしくても、ちゃんと、しっかりと。
―目を見て。
「―・・・好きだよ。ジュダル・・・」
「俺も。好きだよ・・・A―・・・・・・」
ふわりと、やわらかく笑ったジュダルさんは
私の額にそっとキスを落とした。
ピィピィピィ・・・・ と
ルフのざわめく音が聞こえた。
「バイバイ、A。次会うときは―――・・・・」
第参拾陸夜・「バイバイ」→←第参拾肆夜・「最後のお別れのような」
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玲琉.(プロフ) - ゆーかさん» 最初から見直してくれたの?!有難うー♪これからも頑張るね! (2014年3月30日 13時) (レス) id: 7d3c1dd707 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーか - 玲琉.さん» 最初から見直したよ~!文字うちながら涙が。゚(゚´Д`゚)゚。これからも頑張ってねヾ(≧∇≦) (2014年3月30日 12時) (レス) id: d9ee154cee (このIDを非表示/違反報告)
玲琉.(プロフ) - 一花さん» はじめまして!心情描写は一番気にかけて書いているものなんですよー(/ω\*)引き込まれただなんて・・・!応援してくださるなんて・・・!素敵だなんて・・・!私には勿体無いお言葉ですが凄く凄く嬉しいです!!続編も頑張りますね! (2014年3月16日 11時) (レス) id: 7d3c1dd707 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - はじめまして。心情描写が丁寧で、引き込まれ、一気に読ませて頂きました。凄く……凄く……紅覇様の想いに心を打たれまして……主人公ちゃんとの仲を応援したいと思いました。続編も楽しみにしています! 素敵な作品に出会えたことに感謝をこめて。失礼いたします。 (2014年3月15日 1時) (レス) id: aa8e4f9320 (このIDを非表示/違反報告)
玲琉.(プロフ) - 紅凛檎さん» きゃー!!来てくれてありがとう!!感想聞かせてほしかったんだよねー♪いつも見てくれてるとか、感動的とか・・・もう嬉しすぎるっ!!応援もしてくれてありがとう!!続編頑張るね〜(`・ω・´) (2014年3月13日 17時) (レス) id: 7d3c1dd707 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲琉. | 作成日時:2013年12月8日 15時