泡沫少女の泡沫ノ恋。【練紅覇】

第弐拾参夜・「日記帳01―平和―」 ページ25

『今日から煌帝国。

　やっと母上と父上から逃れられる! 嬉しすぎる!

　嗚呼、この国から出たくないなあ。』



『今日は、""煌帝国第三皇子練紅覇""っていうひとが話しかけてきた。

　明るいひとだったなあ』



『今日、""煌帝国第一皇子練紅炎""様に声をかけられた! びっくりした。

　それで「この林檎をかけて、少し対決しないか?」って面白半分な様子で言われた。

　
　そのかける林檎がすっごく美味しそうだったからついつい小太刀を勢いよく腰から抜いて

　「やります」って言っちゃった。

　
　紅炎様、すっごく強かったなあ。少し手こずらせてやったけど。

　最終的には負けちゃったけど、林檎はくれた。

　なんでかな? でもラッキー。』



『またまた紅覇っていうひとに話しかけられた。

　なんかあのひと、ぐいぐい話しかけてきて、こわい。』



『今日は""煌帝国第二皇子練紅明""様に話しかけられた。

　ほとんど無表情のままお話してたら、お話が終わったあと

　紅明様が従者のひとに「私ってAさんに嫌われてるんですかねぇ･･･」って言ってた。


　嫌ってるつもりはないんだけどなあ。

　
　少し悲しい気持ちになった。』




『紅覇ってひとにまた話しかけられた。

「Aって何日か前に炎兄と対決してたよねぇ! 僕、それ見てたんだけど･･･
　Aってすっごく強いね!! 羨ましいよぉ」

　って何故か興奮している様子で紅覇ってひとは話しだした。


　一気にそう言った紅覇は、急にしょぼんとして、


「僕ね、煌帝国第三皇子なんだけど･･･落ちこぼれなんだ。
　
　炎兄、明兄とは異母兄弟だし･･･母親の噂も絶えないし･･･
　
　僕のこの性格･･･【変わり種】って言われるし。いっつも冷たい視線ばっかり向けられる。」


「それに僕は、Aみたいに、強くない。」


　って言った。私、どうしたらいいか分からなかった。

　何も言えずに、じっと紅覇を見つめてたら･･･いきなり紅覇、にこって笑って、


　「Aは･･･いいね。」


　って言うと、お庭の方へかけていった。

　最後の笑顔、何だか悲しそうだった。

　折角、折角･･･初めて母上と父上以外にAって呼んでもらえたのに。

　私、何もできなかった。』







　

　

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