泡沫少女の泡沫ノ恋。【練紅覇】

第拾捌夜・「無力」 ページ20

やっと、やっとここまでたどり着いたのに

君にどれだけ手を伸ばしても

もう、届かない。


ねぇ、聞こえてる?

ねぇ、覚えてる?


口の中でじんわりと血の味がした。

それに加わってしょっぱい味もする。


いつの間にか、涙も流れちゃってたみたい。


嗚呼、情けないなぁ。

折角君を見つけたのに、助けられないし

おまけに泣いちゃうし。


炎兄を見てみる。

すると、「この程度か?」みたいな馬鹿にしたような呆れたような顔で僕を見下ろしていた。


それが僕には酷く気に入らなかったんだ。



「何で･･･!!!!! 何でAに会わせてくれないの?!ねぇ、何で?!?!
　
　僕、ここまで精一杯頑張ってきたのに、何で?!

　ここにAがいるってことだけ教えて、あとはもうなんでもいいの?!

　何で僕を助けてくれないの?! どうせ僕は弱いからって蔑んでるの?!

　ふざけるなよ!!!!!!!!!」


思いのまま、衝動のまま叫び続ける。


「炎兄のばぁーか!!!ばかばかばぁーかぁ!!!!!

　炎兄なんかだぁーいっきらいだ!!!!!!僕より強いくせにAさえも助けないんだ!?

　Aの居場所、知ってたくせに!!!!何で助けないんだよ!!!!」


炎兄にこの声が、思いが、届いてるはずない。

だけど叫び続けた。


―嗚呼もう、自分が何言ってるのか分かんないや―




「もう炎兄なんか死んじゃえ!!!!!!!!!!!!!!!!」

「黙れ!!!!!!!!!」


炎兄が僕に向かって叫んだ。

酷く怒ってるような様子で。


恐怖で体が震える。

炎兄は今すぐにでも僕を殺しに来そうな表情をしていた。




僕･･･今･･･何て言った･･･?･･･



―もう炎兄なんか死んじゃえ!!!!―



「―ｯ!!!!」


自分がした失態に気がつき、謝ろうと口を開いた。

するとその言葉を炎兄がさえぎった。

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あずきいろ

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