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猿『てかA、何であんなハゲのとこに入隊したんや。』
平『やからハゲちゃう言うとるやろ。』
白『白も気になるー!』
『えっと...あんまりいい話じゃないかもしれませんが.....』
平子隊長と初めて出会った日のこと、兄さんのことを長くならないように簡潔に話すと少し空気が重くなった気がして。
やっぱり話さないほうが良かったと思った矢先、湯呑みが強く食台に叩きつけられる音が響いた。
猿『黙って聞いてたら何やその話.....!ムカつくわぁ!』
『...っ、申し訳ありま『アンタちゃう!』
猿『その義兄もそうやけど何やAの兄貴は!
Aのためや言うとるけど、自分の考え押し通しとるだけやん!
ほんまにAのこと思っとんやったら、どんだけ苦しくても側におるんが兄貴ちゃうんか!?』
"けったくそ悪いわぁ!"
そういって酒を勢い良く流し込み飲む猿柿副隊長。そんな猿柿副隊長に賛同するように隣に座っていた矢胴丸副隊長が口を開いた。
矢『A、もしAの兄貴がノコノコと姿現したらうち等に言い。1発ぶん殴ったるわ。』
白『白もさんせー!』
重くなってしまった空気が、さっきまで....よりそれ以上に温かくなった気がした。上手く言葉が繋げられない私に平子隊長は、
平『来てよかったやろ?』
『......っ、はいっ!』
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そのあとも飲み会は続き、自然と話せるようになった頃には長い時間が過ぎていた。平子隊長の声が聞こえなくなったと思い横を見ると壁にもたれかかったまま眠っている平子隊長。
有『ここ最近任務続きでお疲れだったんデショウ....。』
羅『そういや真子が飲み会に参加すんの久しぶりだな。』
脱ぎ捨てられていた隊長羽織をそっと平子隊長にかぶせると、一瞬唸るような声がするもまたぐっすりと眠った様子。
矢『...てか真子がA送るんちゃうんか。』
矢胴丸副隊長の言葉に一同が"あっ、"と声をもらす。私は一人でも帰れると伝えたがそれは即却下されてしまった。
六『....俺が送ってく。』
白『えぇ〜けんせー怪し〜。』
六『ぶっ飛ばすぞ。』
『六車隊長に限ってそれはないかと....』
羅『ぜってぇにねぇな。』
皆さんに改めてお礼を伝え、挨拶を終えて外で待っている六車隊長の元へと向かう。
六『悪いが聞きてぇことがあるんだ。少し寄り道すんぞ。』
『.....?はい。』
歩き出した六車隊長の横顔は、どこか重く苦しげに見えた。
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作者名:とり天 | 作成日時:2023年8月15日 16時