【第2章】この世を色で染め上げて【リレー小説】 (ページ38)

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夢の終わり【かふぇ】ページ38

「お嬢ちゃんはフランスにおるよ。絵師試験にも合格したらしいで。」

そっか・・・

まあ、そうだよな

フランス、芸術の街

そこで得られることは大きいだろう

それに、やはり彼女は才能がある

そして、人のために自分が傷つくのをいとわないような、

純粋で優しい心。

昔思った通り、彼女は大物になるんだろう

そして、僕の存在なんか、小さくなっていくだろう

・・・急に、イロハさんが遠くに行ってしまったようで

(寂しい)

とか

「……最初の試験の、『潜りすぎたらあかん』は、案外簡単な答や」

唐突に、ナミノさんが口を開く

「潜りすぎたら、上に持っていかなあかん。もし持ってこれなかったら、その絵は感情に左右される。」

「お嬢ちゃんも、あんちゃんも…怒りの感情を内に秘めてる。」

怒り、なのだろうか

腹にうずまく、見ないようにしてきた黒いものは。

親、極彩家、人間、絵師

消えてしまえ。

これは

殺意？

「あんちゃん、コントロールするんや。その怒りをコントロール出来たら……」

「簡単にお嬢ちゃんなんて超えられる。」

「ッ……でも、怒りの出し方が……」

わからない

怒ろうとしても、反抗しようとしても

それが「正しい」のかが、わからない。

ただの、自分のワガママじゃないだろうか

怒りを表したとき、誰かを傷つけることが、何よりも怖い

傷つけることは、傷つくことより怖い

だから、全部を自分のなかに溜め込んでいる。

・・・それが、絵に出ているのだろうか

「じゃあ、手伝ったろう。」

そういうナミノさんの顔は、笑っている

この人は、いつだって笑っていて

だから、感情が読めない。

「あんちゃんの家の事件も、あんちゃんの色の事も、ああ…赤のお姉ちゃんの事も、お嬢ちゃんの親の事も、お嬢ちゃんの色も…黒のあんちゃんの事もワイの仕業や。」

は？

視界が、ゆらゆら揺れる

意味が、分からない

「ナミノさん」

僕の声は、怒っているだろうか？

ただ、分からないことだらけで、自分だけが蚊帳の外にいるみたいだ。

「全部、教えて下さい。貴方は、全てを知ってるでしょう？」

夢のような時間は、もう、終わる