己の進歩 ページ5
時は過ぎて、大分身体がしっかりしてきた頃。
稽古の最中、いつもは無口に近い父さんが…
父「やっと、まともになったな。
マスターに師事するための関門試験を受けてみるといい。」
バンバ「本当か！？ありがとう、父さん。」
言葉数は少なかったが、やっと…やっと少しは認めてもらえた。
いや、大いなる褒め言葉に違いない、そう思っていた。
最難関の関門試験に合格した者は、
リュウソウ族の中でも精鋭の騎士『マスター』の称号を持つ者に
師事する資格が与えられる。
それを受ける許しを得たと言うことは、俺にとって大きな進歩だからだ。
・
・
？「へぇ、トンバ先輩がねぇ。」
バンバ「そう。やっと、日々の鍛錬が少し報われたような気がする。」
？「そう。けど、油断はしないことよ？
関門試験はそんなに甘ったるもんじゃないからね？」
バンバ「重々承知だ、ミオ姉さん。」
俺の隣に座って、話を聞いてくれているのはミオ。
相当な腕の剣術使い。
第一線にいた父さんの後輩で、何かと世話になっているのだ。
何かあったら1番に話す、まさに姉みたいな存在だ。
余談だが、
ミオ姉さんが言うトンバ先輩は俺の父さんのことだ。
ミオ「それにしても、バンバちゃんが関門試験を受ける時が来たんだ〜。
時が経つのが早いなぁ〜。」
バンバ「これも、自主練で型とか見てくれたミオ姉さんの協力もあってこそだ。」
ミオ「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない。
トンバ先輩に似て無口なバンバちゃんにしては珍しい。」
バンバ「お、俺だってお礼くらい…。」
ミオ「ふふ、はいはい。(笑)」
ミオ姉さんはこうして俺をからかう…。
けど、気心知れた人だったから、
からかわれてもそんな悪い気はしなかった。
ミオ「とにかく、関門試験を受ける許しを得たからには合格をね？
トンバ先輩の期待に応えないと。」
バンバ「おう。もちろんだ。」
ミオ「おぉ、たっのもしぃ〜〜〜！」
バンバ「いたっ！ミオ姉さん、相変わらず力強い…。」
ミオ「私の気をバンバちゃんに入れたんだよ！
しかと受け取りな。」
バンバ「あ…。はい。」
やはり、ミオ姉さんには敵わないな。
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