お兄ちゃんは愛をはき違えている【神威】3z

4 ページ5

表門まで走ると、案外まだ人が歩いていた




門前には風紀委員の土方くんがいた






｢ぁ、おはよう｣


土方くんは無愛想な顔で挨拶をしてくれた



これでも同じクラスの女子




挨拶くらいしてくれる





｢おはよ…風紀委員は大変だね｣





なんてことのない質問を投げかける







｢まぁな…もう終わるし…教室まで一緒に……｣






土方くんが言いかけた所で口が止まる





なにかとおもい、自分の後ろをみるとにこやかに笑う沖田くんがいた






｢あ、Aさん！…おはよう｣



彼は爽やかすぎて、太陽に照らされた笑顔は本当に絵になる





みんなはゲスだの、ドSだの言っているが、私にはそうはみえない。






｢…おま…総悟…｣


土方くんは沖田くんに何か言いたげだったが、またしても言葉がつまったようだ









｢土方さん！おはよう…今日もご苦労様です｣









土方くんは呆れたような顔をして冷や汗をかいていた




｢あ、Aさん…一緒に教室いこうよ｣





沖田くんに少し強引に手を引かれ、校門に向かう









しかし、その瞬間一気に沖田くんとの距離が離れた







｢お前……A姉になにしてるアルか………そんな貼り付けの笑顔なんか浮かべて…｣









神楽に引っ張られてAには聞こえない距離ではなす沖田





｢貼り付けだァ？…クソチャイナ…てめぇは黙ってなせェ………俺はてめぇの姉貴、俺に堕としたいんでさァ｣







沖田にはAの薄ら笑いや、一線置いたような接し方が気に入らなかった








神威という存在以外には揺るがないAを自分のモノにしたかった









｢…チッ……勝手にするヨロシ……でも、A姉傷つけたら……お前を許さないヨ｣




神楽はAが大好きで、でも、神威に勝てないことを知っている。






だから、こんな風に遠回しにしか愛情表現できない









｢…お、沖田くん？……神楽…なにやってるの｣




神楽は不貞腐れたように教室に向かっていってしまった





沖田は立ち上がり、Aと共に教室に向かった






｢おはよう…あれ、2人とも一緒に登校？｣





教室にはいると、お妙ちゃんが少しからかうように私たちにはなしかけた









違うと否定しても、女子らしいというかなんというか、どうにか恋愛に持ち込もうとしている






｢んじゃ、HRすっから｣





先程と変わらないだるそうな先生が教団の前に立った

5→←3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す