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Unanswered morning glowy(Daisuke.S)19 ページ19

次に佐久間が目を覚ますと、既に点滴はなく
ぼんやり時計を見上げると、時計の針は23時を回っていた。

しまった、と布団を跳ね除ける勢いで起きれば
仕切りカーテンの向こう、ダウンライトが点いていることに気付く。
そっとカーテンを開けば、ソファに座ったまま
小さな寝息を立てているAの姿があった。
ソファの上に足を上げて、肘掛けを枕代わりにして眠る姿は
彼女の家で何度か見たことのある姿だった。
Aを起こさぬよう、そっと近くに寄ると
傍には帰り支度の済んだAの荷物と、向いのソファには自分の荷物が置かれていた。
他に人の気配はなく、テーブルには医務室の鍵が置かれているところを見ると
もう帰るだけの状態になっているようだった。

「…A……。」

起こしたくはないけど、起こさないといけない。
そんなジレンマに苛まれながら、佐久間は小さく小さくその名前を呼んだ。
別れて以来、こんなにゆっくりとAの顔を見るのは初めてだった。
よく見れば、閉じられた目元が、少し赤くなっていて
僅かだが、化粧も崩れているようだった。

泣いたのかな。

そっと、その眦を親指で撫でると
少しだけ睫毛が震えたものの、目を覚ます気配はなかった。

そのまま、すり、と親指で頬を撫でてみる。

「…ごめんね。」

状況はハッキリとは分かっていないが、恐らく自販機の前で
自分は倒れたか何かして、どのくらいの時間は分からないけれど
意識を失っていたのだろう。
レッスン終わりが16時くらいだったはずだから
6時間以上は、寝ていたことになる。

途中、一瞬目を覚ました記憶はあるが
あまりにふわふわとし過ぎていて
あれが現実だったか、自信はない。

一向に起きる気配のないAの頬から手を放して
枕のように、重ねて顔の下に敷いているAの手の、少し開いた指の先を握る。
眠っている所為か、その指先は冷たい。


「ごめんね、俺、迷惑ばっかりかけて。」


ぽつりと零す。

「俺がこんなだから、Aにも、我慢させちゃうんだよね。
 もっと。もっと、頼れる男に、早くなりたいんだけど。
 どうしたら良いか、ぜんぜん、わかんなくてさ。
 馬鹿すぎて、ほんとうやになるよ。」


君の隣に胸を張って立てるような
相応しい男になりたいのに。
眠る君に弱音を零すような、卑怯な男でごめんね。

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設定タグ:snowman , 佐久間大介 , 恋愛   
作品ジャンル:タレント
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作者名:Y.Harumizu | 作者ホームページ:http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/  
作成日時:2023年3月25日 17時

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