Unanswered morning glowy(Daisuke.S)18 ページ18
頭を撫でる優しい感触に、ふ、と意識が浮上する。
重い瞼を少しだけ開ければ、薄暗い天井がぼんやりと見えて
ゆっくりと視線を横にずらす。
頭を撫でてくれる、温かい手の持ち主は
佐久間が目覚めたことに気付いたのか
撫でる手を一度止めると、佐久間の目がよく見えるように
そっと前髪を梳いて、そのまま、また撫でる手を再開した。
「目、覚めた?」
Aの声は、いつもより小さくて、柔らかくて
少し震えているようだった。
「点滴入れてるから、動かないでね。」
「…ん。」
まだ、微睡のふわふわとした心地良さの中、また瞼が重くなる。
そんな瞼に何とか抗いながら見上げた先のAの表情は
部屋の照明が絞られている所為でよく見えない。
そしてやっぱり、瞼が重い。
撫でられる感触と、久しぶりの体温が心地良すぎて
どうしても意識が溶けそうになって、視界がぼやける。
「まだ暫くかかるから、寝てて。
終わったら、ちゃんと起こすから。」
そんな佐久間の様子を見て取ったのか、
瞼を閉じさせるように、Aの手が佐久間の目の上に移されて
ふわりと目元が温かくなった。
「…A……。」
「うん。」
今この時間が、夢なのか現実なのか分からないくらい
Aの声も、時間も、体温も優しくて
佐久間は心地良さに身を委ねるように、瞼を閉じた。
また、髪をゆっくりと撫でられる感触が戻ってきて
夢でも現実でも、どちらでも良いかと思う。
「A…。…好き…。」
「うん。私も、好きだよ…。」
やっぱり夢だったかあ…。
それでもこんな幸せな夢なら、もう暫く起きないでいたいと
佐久間はAの手に頭を摺り寄せて、そのまま眠りに落ちた。
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作者名:Y.Harumizu | 作者ホームページ:http://beautifulvitamin.yukihotaru.com/
作成日時:2023年3月25日 17時