誰が見ても認める美貌の持ち主の芥川さんは、驚くほど食事の量が少ないので食べ残しはそこら辺の変人達が食べます。 (ページ34)

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敦芥『犬』ページ34

◆

　リクエストありがとうございます。

♀♂

「いや、芥川…」

　普段は猫のように気まぐれで我が儘で素直じゃなくて、あまのじゃくな芥川。だけどそんな所も含めて僕は大好きだ。

　けど…

「黙れやつがれがこんなのに怖がっているとでも？ふざけるな断じて怖がってなどいない！」

「早口なのが余計に怖がってるように見える！」

　僕らの目の前には小さな一匹の犬。それは確か…そう、縫いぐるみのように世間では可愛がられている、トイ…なんとかだ。おまけに何処かの家から飛び出して来たのか、首輪が千切れていた。

「困ったなぁ…飼い主探そうか」

「何を云っている敦。こんなもの僕が一瞬で」

「殺すわけないよな」

「……」

　犬が少し動けば芥川が大いに動く。そして僕の背中にくっついて離れない。

　最近芥川の扱いにもなれてきたし、探偵社での生活も充実している。まあ、芥川の弱点が犬だったとは。確かに僕は猫派だけど、犬が怖いってわけでもないんだなぁ…

「あ、この子おとなしい」

　後ろに張り付いて離れない黒へ流れるようにキスをしてから犬を抱っこしてみる。
　芥川のほうをちらりと見ると顔を真っ赤にしてうつ向いていた為、これで黙ると思う。

「さ、飼い主探しに行こう」

　その後無事に飼い主は見つかった。飼い主は20代前半くらいの若い女性。

　男に思わせ振りなことをされ、腹が来たから犬を使って嫌がらせしようとしたらしい。全く…結構迷惑な人もいるもんだと僕も芥川も思っただろう。

　お礼を言われ女の人は帰っていった。芥川は終始ずっと黙っていた。

「芥川？」

　顔を覗き混むと疲れが露になっている。これは…少し無理をさせただろうか。異能を使わないで街中を歩けばすぐに疲れる芥川だ。

「ごめん芥川。僕の家行こうか」

　細くて白い手を掴み、僕らは帰路へと歩き出した。

♀♂

　元凶が太宰さんになっているという。すみません。