【薄桜鬼】孤独を好む女鬼

そして ページ44

あれから数日。




一度里へ戻った。


赤黒く染まり、焼け跡の残る里。




見ていられなくて、亡骸を家族ごとにまとめて火葬した。


もちろん、父様と母様も。




暫くして銀楼が空から降りてきて私をあるところへと案内した。








そこにあったのは家宝の刀。


手に触れると不思議と刀が吸い込まれるような感覚に襲われた。









なんだろうか。







どういうことか全くわからず慌てたが、端においてあった巻物に詳細が記されていた。









“この刀は持ち主を選ぶ。

そして、選ばれ、認められた持ち主が使えば鬼としての力が最大限引き出されるだろう。

持ち主の命が危険にさらされた時、刀は命を救う。

しかし、持ち主の心が闇染まりきった場合、持ち主は刀によって罰せられる。

使い方を誤るな月珠家の者よ。

己の守るもののために刀を振るえ。”





、






もしも、この刀をもう少し前に手にしていたら、里を救えただろうか。







、







いや、そんなことを今さら言っても遅いんだ。




守れなかった。


失った。





そんな者ばかり数えたらいけない。








、






、






こんな前向きな気持ちになれているのは刀のせいだろうか。




……それでもいい。








この際、そんなことどうだっていい。








まだ、守るものが残ってる。






行かなきゃ、








、









、








、







雪村の里へ。

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