皐月 その四 ページ4
清光の様子がおかしい。小通連は疑問符を浮かべる。
その様子は覚えがあった。すると「退いた。退いた」と獅子王が現れた。
「出陣命令だぜ！」
そう言って獅子王は出陣命令が書かれた紙を見せた。それを聞いた周りは当然驚く。
「隊長は、太刀 三日月宗近！」
「さっき来たばかりでもう隊長なのか」
「でも来たばっかの安定君も翌日の初陣は初隊長でしたよ?」
取りあえず獅子王は続ける。
「それと打刀。加州清光！」
「え、俺!?」
やはりおかしい。いつもならご機嫌になるのに、今日はおかしい。三日月が来てからだ。
(………そうだ。これって)
「短刀、五虎退！以上だ」
「獅子王さん呼びましたか？」
シャボン玉で遊んでいた五虎退が獅子王の方へ振り向く。
「五虎退、出陣だ！」
そして、出陣先は宇都宮城。最近行ったばかりだ。
「また宇都宮城の戦いに時間遡行軍が潜入したんだね」
歴史を変えやすい時代なのかもしれない。
しかしどうして三振りだけなのか。やはり主が考えるのはよくわからない。
こうして清光、五虎退、三日月が宇都宮城へ出陣した。
刀剣たちは一振り、また一振りと自分の仕事に行った。
しかし小通連だけは時空転送装置がある中庭に留まったままだ。
そしてそわそわと落ち着かない。お守りを握りしめて不安そうだ。
「小通連。どうしたの?」
「安定くん」
現れたのは安定だ。いつまでも留まる小通連を見て話しかけてきたのだ。
「……安定君。当然覚えているよね?アレに手を出した沖田さんと山南さん。」
「………うん。忘れるわけないよ」
小通連の言葉に安定は真剣な表情で頷く。
「沖田さんは労咳のせいで近藤さんのために戦えなくなった。だから薫様にそそのかされて。
山南さんは腕を怪我をして……。その後伊東が来て……。」
「………二人はアレに手を出した。」
「主を近藤さん、三日月さんを伊東に……いや三日月さんに失礼だね。
まあ例えたらわかりやすいよ。主に愛されたい。でも三日月さんが来て、
可愛がられなくなってしまったら……って。今の清光君。あの二人みたい。
だから私、不安なの。何かがあったら……」
小通連の目にじわ……と涙が出てきた。すると安定は
ぽん
「!」
小通連の頭に手を乗せ、優しく撫でた。
「大丈夫だって!確かに今はそうだけど、しばらくしたらいつもの清光に戻るよ!!」
「…………うん」
その励ましに小通連は涙を拭きながら頷く。しかし三振りが帰還した姿を見て、
泣きながら薬研達を大声で呼んだのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 46人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
時雨 - 凄く面白いです！続き楽しみに待ってますね(*^^*) (2016年12月17日 23時) (
レス) id: bb18c895b3 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 面白かったです！続き楽しみにしてます！♪( ´θ｀) (2016年12月5日 13時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：AYA | 作成日時：2016年11月20日 21時
