皐月 その一 ページ1
ダダダダダダダダ
「?」
廊下を走る音が聞こえてくる。部屋でくつろいでいた小通連は顔をあげた。
スパン！
「小通連!!」
「国俊くん?」
小通連の部屋に来たのは二字国俊存銘の短刀。元気で明るい愛染国俊だった。
「どうしたの?そんなに慌てて」
「これ直せるか!?」
そう言って見せたのは国俊の自慢、愛染明王のTシャツだ。しかし背中の部分が裂けている。
「なんでこんなに!?どこかひっかけた?」
小通連の問いに「実は…」と国俊が説明する。
つい先ほど、薬研、山姥切、鶯丸、歌仙、鳴狐が来た。
曰くこの雨で洗濯物は部屋で干すことになったのだが、
「洗濯できていない服が多い」「今日出陣なら生乾きを着ていくしかなさそうだ」
生乾きの戦闘服じゃあ流石に気持ち悪い。なので「戦闘服をたくさん持っている刀剣から借りよう」となったらしい。そして戦闘服(愛染明王のTシャツ)をたくさん持っている国俊の所に来たのだ。
………が
薬研以外の者たちからすれば小さい。歌仙にいたっては胸元までしか着れなかった。
そのせいで愛染明王はびよーんと伸びて、太って見える。しかも誰かが着てたシャツが
ビリッと破れたそうだ。
「……………差があるの一目瞭然だよね?」
「おう、次は気を付ける」
その話に小通連は苦笑い。国俊は今回の事でまた一つ学んだのだった。
「それでこのシャツを直してほしいから来たんだね?」
「ああ。………直せるか?」
不安そうに聞く国俊。
「裂けた部分は大きいから……縫い目がちょっと目立つね。それでもいい?」
「上着着るから大丈夫だ」
小通連が聞くと国俊は大丈夫と答える。
「わかった。出来る限り目立たないように直すよ」
「おう！ありがとな!」
こうして背中が裂けたTシャツを預かることになった。
小通連は木製の裁縫箱を用意し、黄色い糸を通した針でTシャツを縫い始める。
しばらくして縫い終わった。大きく破れてしまったからやっぱり少し目立つが、
さっきよりはずっとマシだ。
「国俊くん。いる?」
「あ!小通連!」
小通連は国俊がいる部屋に来た。そしてTシャツを見せる。
「どうかな？」
「すげぇ!さっきよりずっといいぜ!!」
合格点だった。
「本当にありがとな小通連」
「どういたしまして」
お礼を言う国俊に小通連は笑顔で答える。
「お礼に今度の内番手伝ってやるからな!」
その言葉に小通連はキョトンとする。
「じゃあ、お願いしようかな?」
「おう！」
国俊らしいお礼に思わず笑みを浮かんでしまった小通連だった。
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時雨 - 凄く面白いです！続き楽しみに待ってますね(*^^*) (2016年12月17日 23時) (
レス) id: bb18c895b3 (このIDを非表示/違反報告)
シアトル(プロフ) - 面白かったです！続き楽しみにしてます！♪( ´θ｀) (2016年12月5日 13時) (レス) id: 93e9cd7354 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：AYA | 作成日時：2016年11月20日 21時
