能力 206 ページ8
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「……な、んで……お前が、泣いて……」
「ふざ、けんなっ!!はぁ……はぁ………っ!」
ぼろぼろと涙を流す白布に、驚きで固まり彼の顔を見つめる潜。だが、当の白布もなぜ泣いているのか、何故こんなにも気分が荒ぶっているのか、分からないように見えた。
みな、あまりの展開に動けない。
そんな混乱する中で、一際落ち着いた声
「白布、落ち着いて」
Aだった。
「ありがとう、白布。……全く、その通りだよ」
「っ、ぐすっ、………うるっ、せぇ………」
白布は、雑に涙を拭いながら上ずった声で言い返す。
彼女の凛々しい声、白布からAにバトンが渡される。
「今ここで彼を殺すことは、最善じゃない。」
「A………」
「私たちはまだ何も知らない。彼が捕まえた人達やその行方も。悪い事をした、確かにそうだ。でも私は公平に第三者の視点で考えなきゃいけないと思う。」
その場にいた全員が黙り込む
「大将さん、彼の話をもう少しだけ聞いてあげませんか?」
真っ直ぐと、一直線に、大将の眼を射貫くA
ひどく静かなその虹彩は、決して揺らぐことは無い。
大将は、その眼を見て思わず身がたじろぐ。しかし僅かに目をそらすと直ぐに、決心したように息を吐いて潜の方を見やった。
「………潜」
「……はい」
「……………捕まえた人達は、どうしている?」
「…………………それは、」
潜は一瞬喋るのを躊躇うも、すかさず傍にいた白布が睨みを効かせ、彼は話し出した。
「………奥深くの洞窟に、人避けと霊力封じをかけ術を分からないようにして、閉じ込めてます。食事も与えていたので死んではいません。」
「………!」
それはAたちにとっては、思いもよらぬ知らせだった。皆、驚いている。今回の依頼は死人がいてもおかしくないと思っていたからだ。
すると、白布が口を開く
「…………こいつは、多分、必要な人数が集まっても、術をする気はなかったと思います。だって、あんな気持ちで、あんな日記をつけるやつが……人殺しなんて出来るわけないから」
それは、彼の気持ちを一身に受け、そして、連れ去られた洞窟の先で、潜の
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サヤカ(プロフ) - いちばん、大好きです。こんなにも読み返した作品今までにないです。心無い言葉ではなく我々の感謝に目を向けてください。応援しています。 (2022年10月19日 16時) (レス) @page50 id: 61500f37b5 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊蒼 - すっごく面白いです!友達にもおすすめしちゃった!! (2022年9月22日 17時) (レス) @page50 id: 9b1ede6104 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ずっと応援しています!最高に面白くて、毎回更新されてないかなぁと見に来ていました!次回作、本当におめでとうございます!!とても読みやすくて、本当にHQ作品の中で一番好きな作品です。何回も読み直させてもらっています。次回作も楽しみにしています! (2022年6月15日 16時) (レス) @page50 id: 68bcf78704 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 油揚げさん» いつもコメントありがとうございます。新作のコメントも読ませて頂きました。しかし、悲しいことに無意味な低評価が多くメンタルにも影響がありそうなので作り直させて頂きました。いつも本当にありがとうございます🙇♂️ (2022年5月18日 8時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
油揚げ(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!! (2022年4月19日 9時) (レス) @page48 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
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