能力 233 ページ35
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さて、二度目の依頼が大成功したは良いものの、責任者として後の処理までやり切ったAは、学院に戻ると一日泥のように寝た。
あまりにも色んなことがあった、有りすぎた。本当に、むせるような濃ゆすぎる数日だった。
一日泥のように寝て、寝起きのお風呂では珍しく湯船に浸かって、体も心も頭もスッキリとした状態で久々の
「あ!Aさん、おはようございます!」
「ッス」
会議室に入ると日向と影山が汗だくで飲み物を飲みながら挨拶してくれた。どうやら朝の訓練をしていたらしい。ちなみに私はもう歳なのか体中がバキバキで流石に今日は無理だった……(まだ17歳)
すると、後ろから間延びした声が聞こえた
「おーす。なんだ、久々だな」
「おはよう。早いね」
そして後から入ってきた茂庭さんの手には見慣れた二本の刀が握られていた。
「Aさん、これ、二本とも大丈夫だったよ!なんか色々大変だったみたいだね」
「茂庭さん!ありがとうございます!!」
それは今回のMVPと言っても過言ではない祖母の形見の短刀と、岩泉さんを助ける時にぶん投げてしまった、茂庭さんがこしらえてくれた打刀だ。
刀は月島とリエーフが回収してくれていて、返してもらった時は何度も頭を下げた。あん時の月島のムカつく顔は多分一生忘れない。
念の為、茂庭さんにメンテナンスを頼んでいたのだが、流石茂庭さん。仕事が早い……!
その時、この依頼に行く前、茂庭さんが何か言いかけてたことを思い出した。
「あ、茂庭さん。依頼に行く前、何か言おうとしてましたが……何の話ですか?」
その質問に茂庭は「あぁ、そういえば」と笑う。
「刀って持ち手の中の金属の部分にその刀の名前が彫ってあるんだ。今回使ったのは刃先の方だから本当なら無くなっちゃうんだけど……この刀の大切な名前だから、銘の部分を切り取って新しい部分にはめ込んだんだ」
Aの手の中にある、短刀になおされた打刀。
茂庭はそれを見つめながら続ける。
「この子の名前は、佐久早聖臣……佐久早といえば、有名な井闥山派の中でも指折りの名刀だよ。」
「……………佐久早、、」
初めて聞いたはずなのに、違和感なく頭に入ってくるその響き。口の中で何度も何度も繰り返す。すると、ほかりと心が暖かくなった気がした。
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サヤカ(プロフ) - いちばん、大好きです。こんなにも読み返した作品今までにないです。心無い言葉ではなく我々の感謝に目を向けてください。応援しています。 (2022年10月19日 16時) (レス) @page50 id: 61500f37b5 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊蒼 - すっごく面白いです!友達にもおすすめしちゃった!! (2022年9月22日 17時) (レス) @page50 id: 9b1ede6104 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ずっと応援しています!最高に面白くて、毎回更新されてないかなぁと見に来ていました!次回作、本当におめでとうございます!!とても読みやすくて、本当にHQ作品の中で一番好きな作品です。何回も読み直させてもらっています。次回作も楽しみにしています! (2022年6月15日 16時) (レス) @page50 id: 68bcf78704 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 油揚げさん» いつもコメントありがとうございます。新作のコメントも読ませて頂きました。しかし、悲しいことに無意味な低評価が多くメンタルにも影響がありそうなので作り直させて頂きました。いつも本当にありがとうございます🙇♂️ (2022年5月18日 8時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
油揚げ(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!! (2022年4月19日 9時) (レス) @page48 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
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