能力 12 ページ12
.
｢えっと、ここDランクの教室なんだけど……迷子になった？｣
そう心配そうにする姿はまるでお母さん。
口振りや態度からして彼もDランクかもしれない
｢もしかしてDランクの人ですか？｣
「えっと……はい……」
「私、G2のAAです。私もDに転入してきたのでよろしくお願いします」
そう自己紹介すると彼は驚いた表情を見せた後、安心したようにニコリと笑って名前を教えてくれた
「俺はG3の茂庭要。よろしくね」
その笑顔ではとても優しそうで癒される。
心が洗われる……マイナスイオン出てるね、絶対。
「そう言えば黒尾見なかった？いつもなら居るんだけど……」
「あー………黒尾さんはぁ……」
茂庭さんの質問に言葉を濁す。私が色々言って帰っちゃいました〜！なんて簡単に言い出せる訳がない。
「………あれ？」
「……どうしたんですか？」
私が言い出そうか渋っていると、茂庭さんは私の方を見て声を上げた。何か変なとこでもあるだろうか？それとも私が原因だってバレた？
「……あの、君の能力って " 無効化 " とか何か？」
「えっ、なんで分かったんですか……」
するといきなり私の能力をピタリと当てるものだから、思わずそう聞き返す。なんで分かったの！？
「あ、いや、俺の能力はその人の感情が色で見えるんだけど………Aさんは何も見えなかったから。」
そう言って頬を掻きながら苦笑いを零す彼。
" 他人の感情が色として見える "
攻撃力も無いし、もしかしたらその能力のせいでDランクに落とされたのかもしれない。……それでも、
「素敵な能力ですね。」
「……えっ？」
Aはそう言って笑った。
いや、そう言わずにはいられなかった。
彼女が突然そんな事を言い出すものだから、茂庭は目をパチクリとさせて固まる。
「だって、人が辛い時、一番に分かってあげられるじゃないですか。どんなに完璧な笑顔を取り繕っても茂庭さんは気付いてあげられる………凄いですよ。」
「…………ぁ、ありがとう……」
" 使えない "
" 微妙 "
" その能力意味あるの？ "
そんな言葉ばかり掛けられてきた彼の能力。
でもAの言葉は、彼の心に優しく溶けていった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 399人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
0xx38t550360m7h(プロフ) - 甘納豆さんの作品大好きです!これからも頑張ってください! (2020年3月9日 12時) (
レス) id: 70db7652be (このIDを非表示/違反報告)
コアラランド(プロフ) - い､一体夢主ちゃんの後つけてたのは誰なんだ(;･∀･) (2020年1月10日 22時) (レス) id: 5b9d17e3ea (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ(プロフ) - 26ってもしかしてにr((面白いです！！パロ系の話大好きなので頑張ってください！！ (2019年12月22日 10時) (レス) id: 86e8f7f917 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 続き楽しみにしてます！！無理しない程度で頑張ってください (2019年12月19日 23時) (レス) id: 398e0a716f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
