夏の思い出 ページ8
「も〜!Aちゃん危なっかしい!」
「す、すみません……」
私はもう一度ゆっくりとその場に腰を下ろし、体育座りで脚を軽く触る。あ、影山君にはめちゃくちゃお礼言った
「そんな急がなくて良いよ、待っとくから」
及川さんはそう言って笑ってくれた
宮水さんのご好意もあり、お昼ご飯のおにぎりをご馳走になったのでそのお礼として三人で掃除を手伝った
しばらくして、気づけば日も傾き16時頃
「そろそろ帰りますね」
「おぉ、そかそか」
及川さんがキリのいいところでそう言って立ち上がる。私達も続いて腰を上げた
すると宮水さんが懐からあるものを取り出す
「あ、これ持っとき」
そう言って私たち三人に渡してくれたのは、及川さんに前貰ったのと同じお守りだった
「霊避けのお守りや。力も徹くんのお墨付きやし役に立つと思うで」
「ははっ、宮水さん、ありがとうございます。」
及川さんがそうお礼を言うので私達も続いてお礼を言う。すると宮水さんは "ええよええよ、気にせんで" と笑う
.
門の所まで見送ってもらい、宮水さんにお辞儀してまたあの階段を今度は下り始めた
.
「いい人でしたね、宮水さん」
「ホントだよね」
階段を降りながら、影山君の呟きに相槌を入れる
すると今度は及川さんが口を開く
「 "ちゃんと見える人" の間では結構有名な人なんだよ〜、お祓いの腕も良いし」
ちゃんと見える人、それを聞いてやっぱりデマとかもあるんだなぁと思った
「及川さんは何回か行ったことあるんスね」
「まぁね〜、お母さんに連れてかれたのが最初だったけど」
それを聞いて、ふと怖い本の第一話を思い出す
あれって、、あのお寺だったのかもしれない
そう思いながら足を動かす
下り終えるまであと少しだ。
ひぐらしの鳴く声が耳に響きながら、オレンジ色に染まる雲が木々の隙間でゆっくりと風に流れる
「はぁ、早く帰ろ〜」
及川さんの声が聞こえる。
そして私が下を向きながら、長い階段の最後の一段を踏んだ時
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あんなに煩かったひぐらしの鳴き声がピタリと消える
「………え?」
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思わず声を漏らし、顔を上げ目を開く
目の前の景色がグニャリと歪み
再び歪みが戻ったかと思うと、先程とは違う光景が目の前に広がっていた
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甘納豆(プロフ) - えるるるるさん» コメありがとうございます🙇♀️パロ大好きなんですがなかなか作品もなく頑張って書いているのでそう言って貰えると本当に嬉しいです😭最近は執筆のモチベが下がっていたのですが、えるるるる様のコメを見て頑張ろうと思えました…🥲 (2022年5月13日 19時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
えるるるる(プロフ) - やっぱりハイキューパロといえば甘納豆さんだなぁ…小説書いてる人で1番すきです… (2022年5月13日 18時) (レス) @page18 id: 80c508f955 (このIDを非表示/違反報告)
☆こらしょ☆ - うぅ〜ッ、どうしましょう…!もう当分、1人で夜遅く活動出来ません|д゚)チビってしまいます…(;_;)(怖いの苦手なんですけど、ほんわか系もあって読みやすかったです…!) (2020年9月25日 1時) (レス) id: 3ff78f13dc (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 蝉の佃煮さん» コメありがとうございます!寝る前にちょっとのつもりが最後まで!ありがとうございます(泣)私もホラー大好きなのでこれからも色々掛けたらいいなと思っています。 (2020年5月20日 21時) (レス) id: 56a49e38cc (このIDを非表示/違反報告)
蝉の佃煮 - HQのホラー小説は初めて読んだのですが物凄くゾクッと来ました! 寝る前に「ちょっとだけ・・・」という感じ読んでみたら一気に最終話まで読み終わってしまいました コメを書くのは初めてで何言ってんだこいつみたいに思ってもスルーしてください・・・ (2020年5月20日 21時) (レス) id: fc5c93fef2 (このIDを非表示/違反報告)
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