【HQ.怪談】 怖い本 下段

夏の思い出 ページ9

｢………え｣


何故だろう。
私は先程まで階段の最後の段を降りていたはずだ。


なのに何故私は＿＿、、


さっきの門のところで宮水さんからお守りを受け取っているんだ？


手にあるのはさっき貰ったお守りと全く同じもので、それを見て固まる



｢霊避けのお守りや。力も徹くんのお墨付きやし役に立つと思うで｣

｢ははっ、宮水さん、ありがとうございます。｣


さっきと全く同じセリフで及川さんがそうお礼を言う。私は戸惑いながらも影山君と共にお礼を述べる


｢ええよええよ、気にせんで｣


宮水さんは、さっきと全く同じ笑顔でそう言う



恐怖だった



何故同じことを二度も繰り返しているのだろう？



私は何が何だか分からず、言葉も出ない

そしてまた宮水さんに門まで見送ってもらい、私達三人は歩き出す



｢いい人でしたね、宮水さん｣


｢……うん、、、｣


階段を降りながら、影山君の呟きに何とか相槌を入れる。すると今度はやはり及川さんが口を開く


｢ "ちゃんと見える人" の間では結構有名な人なんだよ〜、お祓いの腕も良いし｣


まただ。

この後、確か及川さんがお母さんに連れて行って貰った、、と言うはずだ


｢及川さんは何回か行ったことあるんスね｣

｢まぁね〜、お母さんに連れてかれたのが最初だったけど｣


それを聞いて、冷や汗が止まらない
どうゆう事だろうか？



もしかして、、繰り返してる？



そう思いながら何とか足を動かす




その時、









またもや静寂が訪れ視界がぐにゃりと歪む





あ、あぁ、まただ







そして歪みが戻ったかと思うと、先程と同じようにお守りを受け取っていた。









.









｢霊避けのお守りや。力も徹くんのお墨付きやし役に立つと思うで｣








そのセリフにゾクリと背筋が凍る









.

夏の思い出→←夏の思い出

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す