【HQ.怪談】 怖い本 上段

第六話 ビデオメッセージ ページ23

俺は少し悪い気もしながらDVDをセットし、再生した


ヴーーーという音とともに、真っ暗な画面が10秒ほど続く


あれ、撮影に失敗していたのか？と思った
でもちゃんと撮れてたし俺も見てた

瞬間、真っ暗な中に突然近藤さんの姿が浮かび上がり、喋り始めた


白い壁の前で撮ったはずなのに何故か近藤さんの後ろは真っ黒だった



「えー、このビデオを…るということは、僕は…死ん……ザーーーー………

○○(奥さんの名前)、××(娘の名前)、今まで本…ありが…ザザｯーー…」



喋る声に混ざって、さっきからずっと鳴り続けているヴーーーーーーという雑音がひどくて声が聞き取れない



「僕を育ててくれた父さん、母さん、それに友人のみんな、僕が死んで悲しんでるかもしれないけどどうか悲しまないで欲しい

僕はズヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア××(娘の名前)、父さん死んじゃっヴァアアアアアアアアアアアア死にたくない！死にズヴァアアアアアアアにたくないよおおおおヴヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア、、＿＿ザッ」



背筋が凍った。




最後の方は雑音でほとんど聞き取れなくなっており、近藤さんの台詞は明らかに撮影時と違う断末魔の叫びのような言葉に変わっていた


そして、最後彼が喋り終わるときに暗闇の端から何かが彼の腕を掴んで引っ張っていくのがはっきりと見えた


これを見た親族は泣き叫んだ
近藤さんの奥さんはなんて物を見せるんだと父に掴みかかり、近藤さんの父親は父を殴りつけようとした

奥さんの弟が、父はいたずらでこういうものを撮るような人じゃないとなだめてくれた

俺も撮影の場にいて、こんな物ではなかった事を伝えた

おかげでその場はなんとか収まった




翌日、父は例のDVDを近所の寺に持っていった
俺もかなり怖かったが、興味本位で着いて行った


お寺の人に処分をお願いしますと言う前に住職の方がDVDの入った紙袋を見るや否や


「あ、それうちでは無理です」

と言った


代わりに、ここなら浄霊してくれるという場所を教えてもらって行ったがその霊媒師さんも袋を見るなり

「えらいもん持ってきたね」

と言われた


その霊媒師によると、近藤さんはビデオを撮った時点で完全に地獄に引っ張り込まれていたらしい

何で半年も生きていたのか分からないが、本来なら死んでたはずだと言われ、俺と父は震えが止まらなかった


それ以来、俺はビデオメッセージが怖くて仕方がない



終

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