【薄桜鬼】白き花は笑う？ 【番外編】

寒い朝 ページ5

今私の脳内にいるのは、
先ほどの言葉の意味を理解する
処理をしている者達だ。

｢聞こえなかったの？
身支度、してあげるって言ってんの｣

さら、と髪の毛を指で梳いて
不敵な微笑みを浮かべた。

｢……｣

そしてどういう訳か、
つげ櫛片手に私の髪の毛を梳かす沖田さん。

｢君って長いんだね、髪の毛。
結うのが大変だよ｣

何度も梳かしながら徐々に上げていく。

その時だ。

後れ毛を上げようと、
沖田さんの指がうなじをそっと撫でた。

それがくすぐったくて、
気持ち悪いような良いような
訳の分からない感覚に襲われる。

びくっと肩を動かすと
驚いた沖田さんが手を離してしまった。

｢わぁ!?ちょっとなに？
せっかく結ったのに全部やり直しだよ｣

｢首、辞めてください｣

｢は？｣

｢首です｣

すると沖田さんは、私の首へと目を向ける。

途端に悪い事を考える時の目つきになり
ふぅんとにやついた。

｢君は首が弱いんだっけ……｣

そう言いつつ、わたしの首へと
手を回す沖田さん。

｢ここ？｣

そしてうなじを先ほどと同じように
さらりと撫であげた。

再度肩がびくついて
自分でもわかる程泣きそうな目になる。

｢ふふ｣

なんだか嬉しそうな沖田さん。

｢や、めてください……｣

手を退けて髪の毛を手で梳かす。

｢もう、自分でします。
沖田さんは自分の髪の毛結ってください｣

麻紐を口にくわえて、
つげ櫛でどんどん梳かしていく。

それをじっと見つめる沖田さん。

寒い朝→←寒い朝

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す