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半端な知識 ページ17

「な、なんですか、いきなり……」

斎藤さんの家で学校の課題をしていると
沖田さんが声をかけてきた。

「だーから」

頬杖をつくのを辞めて、
足首を掴んであぐらをかく。

斎藤さんは静かに手元の書物をめくる。

外の熱気はエアコンをつけていても
感じられるほど強い。

そのじりじりとした空気の音を
耳から入れつつシャーペンを握る。

「大人になったら全員するもので
『せ』から始まるものだって」

するとにやにやと笑い、
腕を頭の後で組んだ。

引っ掛けだってわかってても、
あちらを想像してしまう。

「あっ、大勢じゃなくてもできるかもね
1人はさすがに寂しいけど」

あははっと笑うと
私のオレンジジュースを勝手に飲んだ。

パックの口を開けてコップへ注ぐ。

あまりにも自然な動きなので、
一瞬私のだと気づかなかった。

「あぁー!それ私の!」

ペンをパンっとノートに叩きつけて
抗議の目線をじろりと送る。

もう既にコップの半分ほど飲み干して、
鮮やかな橙色は彼の喉元へ滑り落ちていく。

「……」

軽くなったパックを人差し指と親指でつまんで
ばしゃばしゃと音が鳴るほど振る。

「あ、ほら答え早く」

「……い、嫌です」

俯いて恥ずかしさを隠す。

ほんと、なんでこの人は
こういう話題が好きなんだろう……

ところ構わず話すからやめて欲しいものだ。

「成人式、ではないか」

斎藤さんが赤ペンでジャッと丸をつけて
沖田さんの方を向く。

「せーいかーい、さすが一くん
Aちゃんは何を想像したのかなぁ?」


……


ニヤつきながら私の筆箱を漁る。

中からボールペンを取り出して
カチカチカチカチ鳴らす。

「……」


「一くんみたいにバカ真面目か
僕みたいに極めないと。

Aちゃんて、半端な知識だから
そんな恥ずかしいんだよ。」


「……」

私は沖田さんのみぞおちの辺りに
消しゴムを投げつけた。

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設定タグ:薄桜鬼 , 新選組 , 番外編   
作品ジャンル:アニメ
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flower* - 大変な中、コメントしてしまいすいません…!気長に待ってます!! (2016年9月7日 21時) (レス) id: 301914d680 (このIDを非表示/違反報告)
あさみどり(プロフ) - flower*さん» お返事が遅れてしまい申し訳ないです(><) 別の作品を準備中でして、更新が遅くなっております。申し訳ないのですが、気を長くしてお待ちくださいね! (2016年9月6日 19時) (レス) id: 81550c930d (このIDを非表示/違反報告)
flower* - たびたびコメをすいません……更新頑張ってください!!つ、続きが気になりすぎてますww (2016年8月26日 20時) (レス) id: 301914d680 (このIDを非表示/違反報告)
あさみどり(プロフ) - flower*さん» 本当ですか!?恥ずかしくなってもらえて嬉しいです〜(笑) こちらこそリクエスト感謝いたします*(^o^)/* ありがとうございました! (2016年7月6日 22時) (レス) id: 81550c930d (このIDを非表示/違反報告)
flower* - あさみどりさん» ありがとうございます!!!!!読んでいて、何故か私が恥ずかしくなりましたwwとても甘くてあんな抽象的なリクにも答えて下さり、ありがとうございます!! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 301914d680 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あさみどり | 作成日時:2016年6月4日 21時

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