割れた眼鏡 ページ25
踏まれた拍子に散らばっていた眼鏡のレンズが手のひらに突き刺さり、じわりと血が滲む感覚がAの手を襲った。
_____最悪、とAは目を細めた。
顔は上げなかった。下からソイツの顔を見上げるなんて、自分のプライドが許さなかったからだ。女王に平伏す民のようにはなりたく無い。
「あらぁ...？踏んだのに死んでないみたい。
随分としぶといわね.......まるでゴキブリみたい。」
女子生徒の足にこめる力が強くなり、Aの手にかかる体重が重くなる。
「...痩せた方がいいんじゃない？いつか王子様にガラスの靴を履かせてもらった時、こんなに重くちゃ王子様がバランスを崩して倒れちゃうわ」
Aは負けじと言い返す。
体重についてものを言われた時の女の子の弱さをAは知っている。だって自分も女の子だもの。
女子生徒はふと顔を歪め、足を退けた。
あら、意外と素直ねと思ったその瞬間、
Aの視界がぐるりと回転した。
一瞬何が起こったのか分からなかったが、視界が安定した時、振り上げられた女子生徒の足を見てすぐに状況を理解した。
蹴られたのだ。顔を。
レディの顔を蹴るなんて無礼ねと思ったので言った。
しかし本人にはまたもや聞こえていないようで、品のない声で高々に笑った後、Aを置いて去ってしまった。
取り巻きの2人がついていく。
その2人は後ろでずっとクスクス笑っているだけだったので、
今の今まで存在を忘れていた。
取り巻きの2人を連れて歩いていく後ろ姿を見て
Aは「3人まとめてタンスの角に小指ぶつけまくって死になさい」と思った。
ヒリヒリと痛む頬を抑えた時、じわ、と血が頬について
あ、そういえば手のひらも怪我していたんだと気づいた。
Aはついさっきまで眼鏡だったものを拾い上げて
ポケットに突っ込んだ。
眼鏡をしていないので、視界が少しぼやけている。
あの忌々しい女子生徒の顔もぼんやりとしか見えなかった。
次会った時はしっかりその顔を見てやろうと心に誓った。
レパロを練習しなければ____とAは思い歩き出す。
大嫌いなヴァイオレットの瞳が何にも隠されず、裸のまま。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 167人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちとせ(プロフ) - ちぢぶさん» レスにレス失礼します、ええー！ええー！すごくすごくすごく嬉しいです（ ; ; ）続編もとっても楽しみです☺︎ (2023年3月5日 11時) (
レス) @page50 id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)
ちぢぶ(プロフ) - ちとせさん» わ〜！ありがとうございます〜！！是非これからも3人の物語を見守っててくださいませ...！私もちとせさんの作品を愛読させて頂いてます...！！大好きです...ﾍﾍ...^^*こちらこそ応援してます！更新頑張ります！ (2023年3月5日 9時) (レス) id: a1d11d1f69 (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - コメント失礼します☺︎女の子とフレッドくんはもちろん、ジョージくんも可愛くてかっこよくて素敵です、みんな幸せになって〜〜の気持ちで読んでます（ ; ; ）これからも応援してます、すきです♡♡ (2023年3月4日 21時) (レス) @page48 id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)
ちぢぶ(プロフ) - rapierさん» わー！ありがとうございます...！嬉しいです...更新頑張ります！ (2023年2月25日 20時) (レス) id: a1d11d1f69 (このIDを非表示/違反報告)
rapier(プロフ) - めっちゃくちゃ好きです!応援してます‼︎ (2023年2月25日 19時) (レス) @page7 id: bda167fb53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちぢぶ | 作成日時：2023年2月18日 0時
