捌拾伍 ページ35
·
隣に座っていた女の子三人組が、声にならない叫びを上げた。オイコラ聞いてたんかコラ。
『……はっ…えっと、あの、え…?』
錆「ははっ、なんだ照れてるのか?可愛いな。てっきり、こういうのには慣れてるかと思ってたが……
安心しろ、返事を求めるつもりはない。伝えたかっただけだからな」
ほら食え、と私に黒文字を手渡した。
錆「…ま、これで意識でもしてくれたら願ったり叶ったりなんだがな」
そう言って錆兎は私の頭を撫でる。
そのまま下へ降りてきた手は頬を撫で、皮膚の硬い掌が私の肌に少し跡を残した。
その指先が、軽く耳を掠る。
『……………………っ……』
錆兎が、私の耳元に口を寄せて囁いた。
錆「…………耳、赤いぞ…?」
今度は私が声にならない叫びを上げた。
隣の三人組はというと、今度こそ喉をかっ開いて黄色い声をあげている。
『よ、よし、食べようか、うん、そうしよう』
錆「ははっ、動揺しすぎだ。落ち着け、まだ時間はたっぷりあるぞ」
·
·
その後の記憶はありません。
ただひたすら甘味を食べ続けたことだけ覚えてる。気付いたら屋敷だったもんね。帰巣本能ありがとう。
_____
______
『ただいま帰ったよぉ…………』
「おかえりなさい、A様」
「おかえりなさーい、Aさん宛にお手紙が来てますよ」
はいどうぞ、と手渡されたのは皺ひとつない小さな封筒。
どうやら鎹鴉が運んできたものではないらしい。
『…これ、誰が屋敷まで持ってきてくれたんだい?』
「わかりません、いつの間にか門の隙間に挟まれてたんですよ」
『ふむ…そうかい、どうもありがとうね』
部屋に帰ってじっくりと封筒を観察する。
…どうやら中身は、手紙ではないらしい。
光に透かして見ると、何か塊のようなものがあるのに気付く。
う〜ん、なんだこれ……やっぱ開けてみないとわかんないかなぁ……こわ…変なの出てきたらどうしよう…
宛先は書いてあるのに送り主の名前がない。こんなの怪しい以外の何ものでもないやん……
封筒が可愛らしいのがまたなんとも不気味だ。
中の塊を切らないように、鋏で封を開けた。
『……………ん?』
·
3392人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うさぎもち - 無一郎かわええ・・・ (8月5日 16時) (レス) @page47 id: 6ed501a3ba (このIDを非表示/違反報告)
冰輪(プロフ) - 無惨のママみがつおい……w (8月1日 0時) (レス) @page27 id: 3dfd0d46a5 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(プロフ) - いつも楽しみにしてます最新頑張ってください応援しています (2021年5月21日 22時) (レス) id: 15c1247fea (このIDを非表示/違反報告)
りぽE - 錆兔好き…。 なんでこんなイケメンなん??錆兔と義勇さんに攻められたらやべぇな (2020年6月10日 16時) (レス) id: 15686f771a (このIDを非表示/違反報告)
桃綺薇(プロフ) - 鯖兎に惚れた…… (2020年4月20日 18時) (レス) id: 3e7a0f8c20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:M2 | 作成日時:2020年1月18日 22時