羊というよりヤギですね2

Lxxiii ページ32

だからその日を境に、私は、ツヅミとして生きたのだ。



口調も、仕草も、ツヅミがやっていたように。









…それで、お母さんが喜んでくれるなら、かまわなかった。











ツヅミとして生活する傍ら、私はずっと、ツヅミのパソコンやスマホ、そしてノートなど、彼女の身の回りにあったものをかたっぱしに調べた。


どうしてあの日、火事が起きたのか。

消防士さんによると、彼女が自分で火をつけた可能性が高いと言う。




それじゃあ、どうして。






警察は、ミナが死んだと思っているから私のスマホなんかを調べているんだろうが、当然、調べたって何も出やしない。





そうして、彼女のパソコンに届いていたメールを見つける。




『なにこれ…………』









そこに綴られていたのは、ツヅミに対する誹謗中傷だ。







_両親を失った兄妹に関する情報を売り、2人を追い込んだ性悪女。


_優等生ヅラしているけれど、結局自分のことしか考えていない。


_自分のやったこと、わかってんのかよ。









それはひとつに留まらず、読んでいるだけで心が抉られるものだって多かった。



ただでさえ、彼女が弱っていたのに。

ただでさえ、あの子は優しくて、だからこそ、傷つきやすいのに。






あの日。






あの日、私が学校へ行った後、彼女の元に、このメールが届いたのだろう。

ただでさえ、とても罪悪感を抱き、後悔していたツヅミ。








……………だから、だから、ツヅミは……………。













『なんで…………




なんでツヅミが死ななきゃいけなかったの？



どうして罪を償おうとしていた彼女だけが責められなきゃいけなかったの！？






他の奴らは………あの事件に関わった他の奴らは、知らん顔でのうのうと生きてるのにお咎めなしかよ！？



ふざけんな………………











ふざけんなよ……………………………………！！』

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