Lxxii ページ31
『……………は?』
ぼとり、と、その場にカバンを落とした。
カンカンカンと、バキバキと、色んな音が耳をつんざく。
赤い色。
視界を染める、真っ赤な真っ赤な色。
「おい!!!早く消火しないと崩れるぞ!!!」
なんで。
どうして。
『ツヅミ______!!!!』
手を伸ばす。
燃え盛る我が家に、手を伸ばす。
消防員達に体を抑えられてなお、手を伸ばす。
『早く、早く消して、じゃないと、じゃないとっ…!!!!』
じゃないと、ツヅミがっ…………………!!!!!
___________
『……………、』
目を、覚ました。
見慣れない白い天井が視界に入る。
直ぐに、理解した。
あの後、気を失って、病院に運ばれたのだと。
_ダメだ、中にいた子は、既に…………
『っ……………』
バンッ!!!
病室のドアが開いた。
そちらに視線を向けようとする前に、抱きしめられる。
『お、母さん…………』
母の暖かい温もりに、込み上げていた涙がこぼれそうだった。
ツヅミが、
ツヅミが、もう…………
「あぁ、良かった。
貴方が無事で良かった、ツヅミ…!!!
ミナのこと、辛いわよね。
大丈夫、お母さん、そばにいるからね。
でもお母さん、貴方が無事で、本当に良かった。」
『______。』
自分の中で、何かが、崩れる音がした。
妹は、ツヅミは、優秀だった。
そんなツヅミのことが、お母さんは、誇りで、愛して、大事だった。
私の家族はみんな、家族想いだ。
私だって、お母さんに愛されている。
…だけれど、
だけれど、本当は、わかっている。
お母さんが、私のことよりも少しだけ、ツヅミを多く愛してることを。
お母さんが、私のことよりも少しだけ、ツヅミを多く好きでいることを。
お母さんの心の支えになっているのは、私ではなくて、ツヅミであることを。
_お母さん、病気は良くなったけど、精神が不安定になるとまた悪化するかもしれないらしい。
だから、お父さんが側にいて看病することになった。
家事のことは、任せるな、ミナ。
…それでも、私は、お母さんが好きだから。
『…うん、母さん。』
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クライヤ(プロフ) - 白井ゆりさん» そう言っていただけると嬉しいです!!これからも続き更新してきますので楽しみにしててください!! (2022年3月23日 6時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
白井ゆり - かなり続きが気になります‼︎ 続き書くの頑張ってください‼︎ 待ってます‼︎ (2022年3月23日 1時) (レス) @page36 id: fb320e0723 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - なかねこさん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!!!喜んでいただけているようで嬉しい限りです!!!!これからも更新頑張っていきます!! (2022年3月20日 11時) (レス) @page19 id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
なかねこ - 続編ありがとうございます!占ツクログインしよっかな...ログインしたら間違いなく一番にお気に入り作者に入れます!!!!いつも面白い作品ありがとうございます!応援してます! (2022年3月19日 18時) (レス) @page11 id: c7c3a69365 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - 青いGさん» ありがとうございます!!!そう言って頂けると嬉しいです!!いつも読んでくださり感謝の極みです!!!これからも更新頑張ります!!! (2022年3月19日 10時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クライヤ | 作成日時:2022年3月19日 4時