第二十七夜<マテール> ページ30
「ここがマテール・・・・」
「ええ、僕の初任務の場所なんですけど、前来た時より緑が少し増えた気もしますね」
「へぇ・・・わ、花が咲いてます!」
花が咲いているのを見つけたらしく、Aが嬉しそうな顔をしてパタパタと走っていった。
そんな些細なことに喜ぶAが微笑ましくて遠くからその様子を眺めていたのだが、不意に僕の左目が小さく疼く。
「まさか・・・ッA!そっちに行っちゃ駄目ですッ!」
「え?」
咄嗟に花へと駆け寄るAを静止させるが、もう遅かった。
こちらを驚いた顔で振り返ったAの背後から、無数のアクマが飛び出してきたからだ。
「A!兎に角こっちへ!」
「は、はい!」
軽やかなジャンプを決めてこちらに来たAを庇う様に前に立つ。
Aのイノセンスは発動こそすれば強いが、するまでに少し時間が掛かる。それまで時間を稼がなければいけない。
わらわらと湧いてくるレベル2のアクマの群れを睨み付けながら、僕はふとコムイさんが言っていた事を思い出した。
『_______________今回の任務はレベル2とレベル3のアクマの破壊で_______________』
「!」
レベル2と‘レベル3’!
レベル3は格段に強いアクマだ。そして思考も多分レベル2よりは複雑に考えられるはず_______________
「・・・!」
Aの安否が心配になり背後を振り返った僕は、心臓を鷲摑みにされたような感覚に陥った。
「あ、アレン、さ・・・ッ」
そこには首を掴まれて宙に浮いているAとレベル3のアクマがいたのだった。
「A!!くそ・・・っ!」
[おいおいエクソシスト?仲間を見殺しにするってのか〜?]
「ぐッ・・・!」
「A!」
左腕を尖った爪のような形に変形させ、体をアクマとAの方へ向け構えると、レベル3のアクマは馬鹿にしたような声を発しつつAの喉元を絞める手を強くした。
同時にAの苦しげな呻き声も耳に届き、どうしていいのかわからなくなる。
構えを解くかアクマを睨み付けつつ考えていると、苦しげに閉じられていたAの琥珀色の瞳が薄っすらと開き、こちらを見た。
そして口をゆっくりと動かし、用件を伝えた。
[あ''ぁ?何だお前、何言ってやがんだよ]
「!!あぐっ・・・」
余計にギリギリと締め付ける手を強めたアクマを、苦しげながらAは睨み付けた。
その様子を見ていた僕は、小さく息を吐き_______________勢いよく駆け出した。
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つきのかりん(プロフ) - 無事完結させる事が出来ました!どうぞこれからも宜しくお願い致します!! (2015年1月6日 0時) (レス) id: 07440e95d6 (このIDを非表示/違反報告)
つきのかりん(プロフ) - Kさん» ありがとうございます!頑張ります!! (2014年8月16日 2時) (レス) id: a15fc9cb35 (このIDを非表示/違反報告)
K - 頑張ってください! 応援してまーす\( ´ ∀ ` )/ (2014年8月14日 22時) (レス) id: 6f49b786e4 (このIDを非表示/違反報告)
つきのかりん(プロフ) - 初コメントありがとうございます!!今プロットを練っているところなので、もうしばらくお待ちください!!更新頑張ります!!(^^) (2014年7月20日 23時) (レス) id: 0f8a230ef4 (このIDを非表示/違反報告)
シュラ - 更新頑張って下さいね(* ̄∇ ̄)ノ (2014年7月18日 22時) (レス) id: 97a80a6ee5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つきのかりん | 作成日時:2014年6月17日 22時