肆 馬鹿には敵わない ページ5
何時になく真面目な帳を見た。
今いる空間は外とは隔離されているらしい､全体が塗りつぶしたように黒く､距離がいまいち掴めない､それ以前に能力とやらについても。今見ているから納得はする。一応。
だがまだ､分からないものは分からない。
全く腑に落ちない。
だが、とりあえず借りてきた猫みたいなこいつをどうにかしてやらねばならんな。
怠け者で無駄に頭が良い。
どうしようもないやつだと思ってきたのだが､
まだ知らない顔があった。
きっと教えたくないこともまだ山ほどある､しっかりと向き合ってやらなきゃならない。
きっちりと目を合わせてやらなきゃならないんだ。癖ってのは恐ろしいもんだな。
兄としての『責任』だと思うと自然と体に力が入る。まずは許すことから､ゆっくり始めてやろう。
fd「まぁ､黙っていたことは別にいい｡大丈夫だ｡お前も俺のについては詳しく分からないんだろう｡俺が一番分かっていないが。」
どうするんだ？と目線で問いかける。
俺は人を殺した身だ。
改めて馬鹿なことをして厄介な身になってしまったと思う。
だが心配した俺が馬鹿だったようだ。
tb「お､調子が出てきたみてぇだな。いいじゃねぇか。どうせ行くあてもねぇんだ。国でも作っちまうか。」
fd「おい馬鹿｡」
tb「んあ？」
fd「国？そんなもの創れる訳ないだろう｡やっぱりお前はただの馬鹿だったか。」
tb「まぁ､なんとかなるだろ｡それについての計画とかは移動中話すからよ｡」
計画があったって等と反論しても無駄だろう。
行くぞ。と笑う弟を止める力はもう無い。
この馬鹿について行く他みちも無い。
先の通り、行くあてがない。
たまには我儘に乗るのもいいかも知れない。
黒い中をどこか先へ先へと進む馬鹿に有難い意見を聞かせてやろうではないか。
fd「おい馬鹿｡計画はしっかり立て直してやるから､なるべく詳しく話せよ｡で､まずはどこに行くんだ」
黒が弾けて消えていった。
涼やかな風と潮の香りがする。
tb「南の国｡マレーシア｡知り合いがいる。引越してなけりゃな｡」
fd「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ！？」
驚愕する俺を無視して歩みを続ける馬鹿。
こうしてマレーシアへ行くことが決まり、各国のはぐれ者達が集う国。
終焉の国。
アポカリオンを生む半歩を踏み出すこととなった。
随分と懐かしく感じる暖かな光はもう高く昇っている。
憎たらしく、清々しい日本晴れに見送られ舞台はマレーシアへと移動する。
日本編[完]
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
叢和附同(プロフ) - ありがとうございます！！これからもチームで頑張っていきますので､よろしくお願いします( ..)" (2019年7月28日 22時) (
レス) id: f8d0f77347 (このIDを非表示/違反報告)
いちごパルフェ - これからどうなるのか気になります！更新頑張ってください！ (2019年7月14日 18時) (レス) id: f41da37d90 (このIDを非表示/違反報告)
光沙(プロフ) - とても面白い作品だと思いました！ これから戦争とかもある感じの奴なのかな？私のめっちゃ好きなジャンルです これからも更新楽しみにしています (2019年7月14日 18時) (レス) id: dd658cd0bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：叢和附同の中の人 | 作成日時：2019年7月14日 0時
