【HQ!】バレー部とのエンカウント率が高い系女子の日常【稲荷崎】

第十四話 ページ15

『…………めっちゃ見られてるけど』


「仕方ない。露草さんが男と弁当食べとんのやで。そりゃ見たがる人多いわ」


『それのどこに需要が』


そのまま沢山の目線に晒されながら、私達は外の渡り廊下にあるベンチに腰掛けて弁当を開く

そして校舎の窓から色んな人がこちらを見下ろしてじーっと見ている。いや、君達暇かいな


「露草さんの弁当、惣菜入っとらんな。オカンとかが作ってくれたりするん？」


『ん？いや、弁当は私が作るんよ。オカンは私の朝練に合わせて早起きしてくれとるし』


「え、自分で作ったん？凄っ。それでこのクオリティて……露草さんってなんでもできるんやな」


『いやいや、そんなことないで。出来るようになるまで時間かかったし、未だに出来んこともあるし』


治君は外見めっちゃでかいお弁当箱を開けながら、こちらの中身を見てそう呟いた

うちは父と母が共働きで、朝と夜はゆっくり出来るものの年中忙しい

だから弁当は私が父と母の分も合わせて作るのだ。始めた頃は悲惨だったけど、長年続けてきた結果大いに実力が上がってきている


『治君のはお母さん？量えげつない……』


「おん。うちはオカン。量が多いのはそうまでせんと放課後まで持たへんからな。これとは別におにぎりと購買のパンも買う」


『………胃袋ブラックホールってこういうこと言うんやな』


「否定はせん」


私もよく食べる方ではあるが、治君とは比べ物にならない気もする。けど、ここまで沢山食べれるなら焼肉とか一緒に行きたい。めっちゃ数頼んでみたい


「露草さんも女子にしては量多いなぁ。結構食べるほうなん？」


『おん。めっちゃ食べるで。午前中に体育あった日とかこの量じゃ足りへん。だからその日は別の弁当箱に詰めてくる』


「じゃあ露草さんと焼肉とか行けたら面白そうやな。際限なく量頼めそうや」


『お、私も同じこと考えとったわ。じゃあどっかの休みに行ってみる？』


「ええの？じゃあ次の土曜の夜とか空いとらへん？俺その日1日練習で次の日オフなんよ」


『土曜日？うーんと、私は半日ずつや。日曜は午後からやし、なんなら自主練やし……うん。空いてるで。じゃあその日にする？』


「おん。じゃあ決まりな。駅近の焼肉屋とかどうや？学割あるで。サブメニューも豊富やし」


『ええとこ知っとるやん。賛成』


と、こんな感じに今日の朝ばったり出会った私と治君は、その日のうちに焼肉屋に2人で行く約束をとりつけたのだった


………あれ？？私もいつの間に乗せられてるんだ…？悪い気はしないけども

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