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芥川と樋口の前に佇むのは、ひどく美しい女性

顔立ちは日本人ではないはずなのに、混ざり毛の無い漆黒の黒髪と、柘榴のように光る黒い宝石を目に宿している


___その目は、優しい色を宿していた



「ごきげんよう、麗しの(サー)。昼のご挨拶を申し上げます」



太宰が胸に手を当てて、恭しく礼をして伯爵の機嫌を伺う
伯爵はそれに柔らかい笑顔で応えると、手を軽く上げて姿勢を直すように促し、太宰はスっと姿勢を戻した



『良い陽光だね、太宰くん。こんな良き日に、新たなるヨコハマの新しい息吹に会えたことを嬉しく思うよ。
そう思わないか?ベディヴィエール』
「えぇ、伯爵(アール)。これも、天のお導きでしょう」



伯爵と執事は微笑みながら優雅に会話を始める。
太宰は気を失っている敦を抱えると、静々と伯爵の前に彼を差し出した。

伯爵はそれに目を留めると、朗らかに微笑んで、太宰の腕から自身の腕へ敦を抱き直す。そしてその瞬間、気持ちよさそうに頬を緩ませた敦の額に柔らかく口付けを落とし、その身を自身の元へ引き寄せる。



『………あぁ、よかった、私の愛し子。怪我はしていないようだね。』



芥川と樋口は、その眩しいばかりの光景に目が離せないでいた。

紛れもなく、彼女は昨今の噂の元。
あの時計塔を電撃退団し、自身の側近と共に行方を眩ませた【宰相】と名高い女性



ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ



そんな彼女が何故、懸賞金首の人虎を腕に抱き、愛おしげな眼差しで奴を見ているのか


そんな芥川の視線に気付いたのか、伯爵は敦の身体を執事に預け、身体を芥川に向ける



『こんにちは、ポートマフィアの若き芽吹達。
私はA。このヨコハマではそのように名乗っている。
けれど、本名以外でなら好きに呼んでくれて構わない。』



伯爵はそう言って微笑む。
背後に感じた怒りのような感情は也を潜めており、その事だけが芥川と樋口の救いであった



『………けれど、よくもまぁ、我らが同僚にあのような仕打ちをしてくれたものだ。……そして、我が愛し子に心無い事を言ってくれて………さぁ、もうわかるね?君たちが仕出かしたことを』



否、その救いはすぐに崩れ落ちた。
伯爵の目に、怒りの感情が満ちていく。
芥川と樋口は息を飲み、背に冷や汗を流す。



『良いのだよ、それでも。そちらがその気なら……私がポートマフィアの手網を握るまでなのだからね』



彼女の目は本気だった。そして彼女には、それを出来る力があった


殺されはしないだろう。
けれど…………組織の人間として、組織に不利益を被ることを、彼らはしてしまったのだ

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苺みるくラテ(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (7月5日 17時) (レス) id: 00ab994726 (このIDを非表示/違反報告)
きさらぎ(プロフ) - 更新嬉しいです!これからも頑張ってください! (2023年2月25日 22時) (レス) @page19 id: 3316933a16 (このIDを非表示/違反報告)
- とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年1月16日 7時) (レス) @page18 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
瀬羅 - あのー、すみません。乱歩さんの『機嫌』が「期限」になってるな〜と思って報告しました。はい。 (2023年1月2日 8時) (レス) @page17 id: 3328415a9f (このIDを非表示/違反報告)
葵坂(プロフ) - でんでんでんさん» ありがとうございます!夢主はイケメンを目指して書いてます!これからもよろしくお願いします! (2022年12月2日 8時) (レス) id: ea5ee97200 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葵坂 | 作者ホームページ:ないっす  
作成日時:2022年11月17日 7時

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