心からの叫び。 ページ6
｢A｣
アイドル科と普通科ではさまざまなことが異なる。
授業内容はもちろん、入口もアイドル科の方が厳重で、警備員によるチェックを通過し、予め連絡がないと中には入れない。
アイドルである彼らは他の科の学生たちから憧れられていた。だから、彼らは騒ぎになる為、基本他の科には来ない。特に用事もないだろうしね。
だから、私は目を疑った。
普通科の入口の付近に凛月がいたからだ。
私は思わず驚きのあまり、学院指定のスクールバッグを地面に落とし、信じられない気持ちで彼を凝視した。
『…凛月。ここで何してるの？』
遠巻きに凛月をチラチラ見ながら黄色い声を上げている女生徒達を横目にそう聞くと、凛月は感情の見えない無に近い表情で、私の腕を引いた。
｢来て｣
短くそれだけ言う彼を見て、落とした鞄を慌てて拾った。
私の腕を引く凛月の背には、怒りが滲んで見えた。
……騒ぎになるのを承知のうえで普通科まで私を迎えに来るぐらいだ。相当ご立腹なのは間違いない。
※※※※
辿り着いたのは凛月の家だった。
家に上がるのを躊躇う暇もなく、凛月が腕を引っ張るため、私は靴を脱いで家に上がった。
『お邪魔します…』
｢……｣
相変わらず無言のままの凛月に不安な気持ちが膨れ上がっていく。
凛月に腕を引かれたまま、彼の部屋に入るとそこでやっと私の腕は解放された。
｢…Aはさ｣
ぽつりと話しはじめた凛月の表情は、俯いていて見えない。
私はじっと言葉の続きを待っていると、凛月はふと顔を上げた。
｢ま〜くんのこと、好きでしょ｣
怒っていたと思っていた凛月は、笑みを浮かべている。
笑っているはずなのに、私はそれを見て怖いと思ってしまい、反射的に一歩後退り彼を見据えた。
『なんで、そう思ったの…？』
彼の問いの答えとも取れる質問で返せば、凛月は更に笑みを濃くして私との距離を埋めるように近づいてくる。
私は逃げても無駄だと察し、静かに彼がどんな言動をするかを待った。
｢わかるよ。俺はずっとAのことだけを見てたんだから｣
『……』
｢知らないフリしてたのは、ずっと想いを伝えていればいつかAも俺を好きになってくれるはずだって信じてたから…。なのに、どんなに好きって言ってもどんなに待ってもAはずっと、ま〜くんのことが好きで、こんなの苦しくて仕方ない｣
そう言って笑っていた顔を歪める凛月に私は何も言えずにいた。
ずっと傍に居るから。→←《番外編》心臓に悪いエイプリルフールだ。
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安城(プロフ) - 恋乃さん» コメントありがとうございます！無理のない範囲で更新頑張りますので、またお暇な時にでも読みに来てやってくださると嬉しいですー！ (2021年3月27日 19時) (
レス) id: 6990b31a24 (このIDを非表示/違反報告)
恋乃 - この作品物凄く好きです凛月がどうやって付き合うのか気になります無理せずに頑張って下さい応援しています (2021年3月26日 23時) (レス) id: 0410a23887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：安城 | 作成日時：2021年3月23日 19時
