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女神と魔王は仲良しです? ページ4

諦めないと目の前の朔間先輩は悪びれもせず口にする。

そのことに怒りが湧いて、ぎゅっと拳を握った。


「Aちゃんが困っていると言ってもですか?」


困っているし、きっとこれ以上何かあれば泣いてしまうだろう。

彼女は真っ直ぐで繊細だ。

放っておいても近づきすぎても壊れてしまいそうな儚さがある。

その癖、他人のことばかり心配するお人好し。

そんなAちゃんが私は心配で、とても大好きだ。


「くくっ。嬢ちゃんは過保護じゃのう」


可笑しそうに笑ってそう言った朔間先輩に思わず、ピクリと眉が動く。


「当然です。Aちゃんは大切な後輩ですから」
「いや、それだけじゃないじゃろ」
「…それだけじゃないとしたら、どうなんですか?」
「…………ほう?」


興味深そうに目を細めた朔間先輩は思案するように顎に手を当てた。

その姿さえ様になる目の前のこの人は、芸術品のようだ。

暫くの静寂の後、朔間先輩はふと表情を和らげた。


「やめじゃ。こればっかりは、我輩達が決めることじゃないしのう」
「それはっ…。…確かに、そうですね」


そう。最終的に決めるのはAちゃんだ。

まぁ、彼女が朔間先輩を選ぶことは現時点ではないだろうからそこは安心だけど、でも。


「今のままでは、Aは誰のことも選ばないじゃろうし…。我輩のことも、そして嬢ちゃんのことも」
「…………」


否定の言葉を口にしようとは思わなかった。

私の気持ちも。

現状誰も選ばれないだろうということも。

何一つ間違ってはいなかったからというのもあったけれど、否定したところで無駄だと思ったのだ。

目の前にいるのは朔間零。

私もお世話になっている尊敬している先輩。

そして何処か掴みどころのない、才能溢れ人を惹きつける凄い人。

この人に嘘なんて通用しないだろうと思ったから。


「全部わかっていて、諦めるつもりないんですね。朔間先輩は」


そう言って無理やりに笑った顔を見た目の前の彼は何を思ったのだろう。


「互いにつらい恋をしたもんだな」


いつもの口調は何処へやら、きっとそれが彼の素であるのだろう自然に呟くように彼は言った。


「……ほれ、嬢ちゃん。そろそろ仕事に戻らねば皆が騒ぎ出す頃じゃないかえ?」
「……あ」


腕時計を見れば、思ったより長く話し込んでしまっていたようで時間が経ってしまっていた。


「じゃあ、失礼します」
「うむ。また後でのう」


一礼お辞儀をして踵を返し、その場を去った。

もっと早くに話したかったです。→←あなたは私の理想の光です。



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さぁ - りっ、凛月君も書いてるだとっっ...!み、見なきゃ今すぐ← 無理しない程度に頑張ってください! (2021年6月3日 17時) (レス) id: fd66046518 (このIDを非表示/違反報告)
安城(プロフ) - さぁさん» 初めまして。コメントありがとうございます…!ふとした瞬間に出てしまう素の零さんはこだわったので、そう言っていただき嬉しいです!また最後までお読みいただきありがとうございました!現在は、凛月くん夢を執筆している為、終わった後俺零さん夢書こうと思います! (2021年5月12日 14時) (レス) id: 5852e8de80 (このIDを非表示/違反報告)
さぁ - 一気に読んでしまいました・・・!こんな凄い文才うらやましい!(何が言いたいのかわからない)時々(?)登場してくる俺様零様にずっとニヤニヤしっぱなしでした。こんどは丸々俺様零様のお話を読みたいです!楽しみにしてます!本当にお疲れ様でした!! (2021年5月11日 23時) (レス) id: fd66046518 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:安城 | 作成日時:2020年10月28日 16時

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