梶井基次郎 ページ9
「こんの指名手配犯！！！！」
「おぅわぁああああああああ？！？！」
ぜぇぜぇと息をしながら私は基次郎の元へ行く。
基次郎は指名手配犯と呼ばれて焦って周りを見渡すが無論私だって誰も見ていない所で呼んだ。
私以外、居る筈が無い。
つまり、見て判る通り、正真正銘二人きり。
告白への不安は無い。心は決まった。どう転がっても私は受け止める。
一番不安なのが、基次郎が科学の話に脱線する事。
「え…あ、嗚呼…柚か。……………柚？！？！」
「アンタ指名手配犯でしょ？！こんな時間に何処ほっつき歩いてんのよ！」
「其は勿論良い檸檬を探しに」
私は此奴を探す為に走り回ったのに探してた当の本人が檸檬を探して三千里みたいな事してた。
何となく苛立って腹を殴った。
「痛いっ？！何なんだい！！？」
「五月蝿い黙って静かに私の話を聞きなさい変態科学莫迦！」
顔が真っ赤な私。
其だけで合点がいったのか、何故か私の言葉を手で制する。
そしてゴーグルを外したかと思えば、真剣な顔で云う。
「君は人伝てに僕が君に好意を持っていると知った訳だし、こういうのは男が先に云うものだ。良いよね？」
“歳上を敬え”とぷんすか付け足された為台無しになったが、そこまでは格好良かった。
大人しく待つ。
「柚」
「うん」
「僕は柚を慕っているよ。迚も」
ニッと笑う基次郎。
そんな笑顔に心臓が締め付けられる。
「普段は科学しか見ない癖に」
「そうだねぇ」
「いつからよ」
「二年前から」
間を置かない返答に一瞬驚く。
然し、私は自覚をしていなかっただけで、若しかしたらその頃から好きだったのかもしれない。
「…ねえ」
「ん？」
「私も好きだよ」
「ほぁあっ？！？！」
むっとなる。
「私が走ってまでアンタを探し回った理由此なんですけど！」
もう暗く、互いの顔が見え難くなる。
多少残念に思う。
基次郎はゴーグルを付けて、驚いた様に云っていた。
「電話で呼べば良かったのに」
「……………慌てたのよ莫迦」
羞恥で顔を覆う。
そんな私の手を取って背中を折って至近距離で私を見詰める基次郎。
赤かった顔が更に赤くなる。
「今なら暗いし大丈夫だよね？」
そう云って唇を奪われる。
一瞬で離れたが、私は驚いて声も出せない。
「科学者たるもの、興味のあるものには積極的にね？」
「積極的過ぎるわこの変態！！！！！」
次の日、基次郎の頬に其は見事なもみじがあったと笑われた。
反省はしていない。
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ゆ - 読み終わった！ちゃんと全ルート書いてくれるの神ですか?神ですね。好きです。ありがとうございました！ (8月4日 16時) (
レス) @page11 id: c79aedafe2 (このIDを非表示/違反報告)
アスパラガス - 本当にこの話大好きです！二年前くらいに、もう既に読み終わっていたのですが、いてもたってもいられなくて、もう一周読んでいました…！ある意味中毒。何回読んでも大好きです！これからも頑張ってください！応援してますよ！ (2022年5月30日 0時) (レス) @page11 id: 3c601836b6 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - 読み終わった……はぁ……すき、ほんと好きだわ、あんこの書く話。何回ニヤニヤさせられたか…ww (2019年12月20日 15時) (レス) id: b09f89d760 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - 完結おめでとうございますー！初めて読ませて頂きましたが、ほんっとにきゅんっとさせられました笑しかも全員のオチを書くという神対応！書くの大変だったと思います！これからも頑張って下さい！ (2019年6月1日 11時) (レス) id: 8f1f373125 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - のっちさん» 遅くなってすみません！のっちさんありがとうございますー！！！精一杯走り抜けてまた新作考え中です！笑 また是非お見掛けしたら読んでやって下さいませー！お互い頑張りましょう！！御愛読、ありがとうございました！ (2017年7月15日 7時) (レス) id: baffe8ba31 (このIDを非表示/違反報告)
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