十話 ページ10
僕の記憶中で唯一、初めて楽しく舟に乗れた今日、友人が二人も出来た。きっとこの血筋と溢れんばかりの強い魔力と、ブラックの容姿ありきだろうけど、それでも尊敬していた先輩方の子息子女に気に入って頂けるのは嬉しい事だ。
寮が分かれても親しくする理由があるのも喜ばしい。この容姿でこれまで社交界には出られなかったから、正真正銘人生で初めてこの容姿が役に立った。
組み分けの準備のために新入生たちで固まって待機しながらそんな事を考えていれば、階段の上にポッターの生き写しかと思う程似た少年が居た為、彼がハリー・ポッターだと確信する。僕はドラコとパンジーを連れて彼に声を掛けてみる事にした。性格までポッターに似ていない事を願いながら。
「歓談中に失礼。初めまして、ポッターくん」
「え?あ、ああ、初めまして。君は?」
「これはすみません、名乗りもせず失礼しました。僕はライアン・バートンと言います。宜しく」
「あ、うん、宜しくね、えっと、バートン。それでどうかした?何か用があって声を掛けてくれたんだよね?」
おや、と思う。彼はポッターのように自信過剰で利己的な人間ではなさそうたま。これなら彼がどの寮でも取り込む事が出来るだろう。まぁあの狸爺が“魔法界の英雄”をグリフィンドール以外に入れる事は無いと思うけれど。どうせ今隣に居る赤毛は当時からダンブルドアフリークだったウィーズリーの子で、着々とスリザリンへの偏見を植え付けている所だろう。これより僕が制止するけれど。
「いえ、大した用ではないんですが、僕の母が君の母にお世話になりまして。君は魔法界で育った訳ではないと聞きました。苦労もあるでしょうし、母が君の母に返せなかった恩を僕が君に返すと承ったのです。何か困り事があれば僕や兄に頼って下さいね」
「ママを知ってるの?」
「ええ、僕は写真しか拝見していませんが、僕ら家族は皆君の母にはとても感謝しているんです。詳細を聞いた僕も含めて。君の母に救われた命が君以外にも確かにあって、それが巡り巡って君の助けになります。その一例に僕たちバートン家を入れて頂ければ」
「で、でも、僕何も覚えてなくて、ママのした事だから僕は関係ないんじゃ」
「それに決めました。僕は君と友だちになりたい。友を助けるのは当然の事でしょう?」
良ければドラコたちとも親しくなって欲しいが、それは時期尚早と思われた為、またの機会にしよう。そう決めて、僕は手を差し出した。
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巫咫刄(プロフ) - うわー続きが気になるやつやん。これからが面白くなるやつやん。お早い更新お待ちしております! (2023年1月15日 15時) (レス) @page13 id: f01b4a7cd8 (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の薔薇(プロフ) - 最っ高!!続きを楽しみに待ってます!!! (2022年2月3日 13時) (レス) @page11 id: 462d698004 (このIDを非表示/違反報告)
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