十六話 ページ16
兄が席に戻り、ドラコと僕も席に座り直して漸くゴブレットの水を飲む。私の記憶が混ざってからもう6年も経つのに未だにあの薬の味を忘れられないなんて、と思いながらほっと息を吐く。ウィーズリーの双子が複雑そうな顔をしている。ドラコがグリフィンドールの僕に優しくする所を見たからだ。
「バートン、君、その、どうして水が飲めないの?ごめん、どうしても気になっちゃって。それにマルフォイが君を気に掛けるなんて」
「…それは、グリフィンドールとスリザリンの確執の話ですか?だとすれば愚問ですね。彼は僕の友人である。それだけです。それと、他人の黒い所にはずけずけと踏み込むものではありませんよ、ポッターくん。君もその傷を無遠慮に弄られるのは本意ではないでしょう」
「あ…そうだよね、ごめんバートン。でもドラコは僕の両親や初めての友人を侮辱したから少し意外に思ってしまって。てっきりグリフィンドールが嫌いなのかと思っていたんだ」
「…ほぉ?それはそれは」
わざと声を少し大きく反応すれば背後でドラコが噎せる音が聞こえた。なんとなく想像はつく。マルフォイの人間は一から友人を作ろうとして最初は大概失敗するのだと父上が笑っていたのを覚えている。ハリー・ポッターの初めての友人になれなかったことに嫉妬して嫌味でも吐いて反感を買ったのだろう。先輩もそうだった。
「ドラコ」
「…すまない、君と出会う直前の出来事だったんだ」
「謝るべくは僕ではありません。タイミングを無くす前にきちんと謝罪してくださいね」
「分かってる」
“あの”マルフォイ家の子息が謝った事に、周りの純血貴族たちやマルフォイ家の悪評を知るグリフィンドール生たちが驚いたようにざわめき、その言葉を背中合わせでかつ視線を合わせる事も無く引き出した僕にも驚愕の視線が集まる。
ドラコが大きく身動ぎする音が聞こえた為、恐らく気まずさを感じているのだろう。少し離れた席では兄が重い溜息を吐いていた。
パンジーが「流石ライアンだわ!」と感嘆し、ザビニとノットが同意する声も聞こえたが、それには一つ笑みを浮かべて手を振るに留めた。
それに信じられないものを見る目でロングボトムに見られた。
そこで気付く。つい嘗てと同じような反応をしてしまったが、聖28一族に名を連ねている訳でもない一族の箱入り息子がこんな対応をするのは有り得ないのだった。しまったと思った時には校長から視線を寄越されており、兄と同じく重い溜息を吐いた。
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巫咫刄(プロフ) - うわー続きが気になるやつやん。これからが面白くなるやつやん。お早い更新お待ちしております! (2023年1月15日 15時) (レス) @page13 id: f01b4a7cd8 (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の薔薇(プロフ) - 最っ高!!続きを楽しみに待ってます!!! (2022年2月3日 13時) (レス) @page11 id: 462d698004 (このIDを非表示/違反報告)
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