ナオミちゃんのクラスメイト【文豪ストレイドッグス】【男主】

拾捌ノ咄 ページ18

「酷い目にあった…」

呟いて、よろよろと立ち上がる。

全くとんだ休日だ。

森医師に苦情に行かなきゃいけないかな、なんて。

そんな危険な事しませんよ。

「あれ、怜君？」

「あっ、中島先輩！」

バイトだけれど一応後輩なので、僕は中島敦さんの事を今は先輩と呼んでいる。

その度に嬉しそうな顔をされる為何だかむず痒いけれど。

「奇遇だね、お出掛け？」

「はい！」

其から、先程の事も話した。

芥川さんにお会いした事。

すると、中島先輩が僕の肩を凄い形相で掴んだ。

「だだだ大丈夫だったの？！芥川に会って無傷だなんて…」

「何かに締め付けられましたけどね…」

苦笑し乍云うと、中島先輩は笑顔で固まった。

其から徐々に顔が歪む。

「羅生門だ…」

「あー、そんな事云ってたかも知れません」

「少しは危機感持って下さい？！」

「え、でも僕は気に入られているから殺されはしないと芥川さんが…」

其で良いのか、ポートマフィア。

僕みたいな一般人を気に入っていて良いのか。

不思議ではあるけれど、お陰で家族にも危険は及ばない様なので安心している。

「其が嘘だったら如何するの？！」

「心配症ですねぇ…」

苦笑する。

尚もあわあわしている中島先輩を落ち着かせる為にどうどうと云っていたら、周りを歩いていた人達にチラチラと見られてしまった。


恥ずかしい。




その中に、とある組織の者が居たのだが、二人共、其には気付かなかった。








「彼は、中々利用価値がありそうだ」


「幾らで買えるだろうか」



そう云うのは、金髪のアメリカ人。

彼の顔を確認し、其の儘歩いて行ってしまった。





「おや彼は…」


「彼を此方に迎えれば、ポートマフィア、武装探偵社両方に痛手を与えられそうですね」


薄く微笑むのは、黒髪のロシア人。

マントを翻し、あっという間に人混みに消えてしまった。









今日の怜は、厄日な様です。

拾仇ノ咄→←拾漆ノ咄

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す