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10.あの日よりも ページ10
〆．
『大毅より！』
「…………………ふふ、あの時は可愛かったけど……すっかり男の人だったね」
五つの文字を見ながら、一番幸せだった日を思い出す。
次期国王として成長していくあなたを見るのが、私の生きる意味だったんだと思う。
今までありがとう。
「………大毅くん」
きゅ、と紙を握りしめた。
「Aちゃん……！！」
「………………？」
「あほやな、俺がAちゃんを間違えるわけないやろ？」
「っ！？ど、どうしてここに……？」
「Aちゃんのこと助けるために決まってるやろ。俺の初恋相手で、
今でもずっと忘れられへん大事な人やねんから」
「っ、」
大毅くんが私を抱きしめた。
「あの子が髪飾りと紙、おずおず見せてきた時に気付いたわ。この子はあのAちゃんやないし、
俺の好きなAちゃんは、やっぱり大きくなっても俺の好きなAちゃんや、って」
「大毅くん…………」
「妹を守るために体張るんは想定外やったけど。ほら、しっかり掴まっときや！」
火の中を、すごいスピードで駆け抜ける。
まだ信じられなかった私は、夢だと思ったし、
もしかしたら神様が死の直前に見せてくれた幻想だとも思った。
だって私、
あの日よりも幸せだったから。
〆．
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作者名：はゆな
| 作成日時：2019年8月24日 19時
