11.国王命令 ページ11
〆.
目を覚ましたのは病院のベッドの上。
一人部屋。
日差しが眩しい。
「……………生きてたんだ」
ため息をつくと、酸素マスクが曇る。
なんで生きてるんだろう。
後悔さえ覚えた。
Aは恐らく大毅くんの妻として、お咎めなし。
でも私は………
「……次期国王を命の危険に晒したら、死罪じゃ済まないかなぁ」
ただの平民だ。
罪人の家族ももちろん罰がないわけではない。
だとすれば世間が注目し、それは巡り巡ってAへの悪評に繋がるかもしれない。
私が公の前で死ぬわけにはいかない。
どこか、遠くの樹海で息絶えなければ。
酸素マスクを外して、ふらつく足取りで病室を出ようとした。
「……あっ!?」
ちょうど同じタイミングで開いたドア。
目の前で驚き声をあげたのは、大毅くんだった。
「起きたん!?ってかあかんやろ!まだ横になっとかな!」
「申し訳ありません、それはできません」
「国王命令や!!」
「っ、」
「ほら、戻る!」
肩を抱かれ、ベッドに逆戻り。
「………………私は、公開処刑ですよね。身元を明かさずにしてもらうことはできますか」
「はあ?」
数日間、自分は意識がなかったのかもしれない。
点滴だけの栄養は、私の体を少しずつ細くしていったらしい。
そのいいのか悪いのか華奢な体を、大毅くんはゆっくり抱きしめた。
火事の時とはまた違う感覚。
震えていた。
……………どうして?
〆.
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作者名:はゆな | 作成日時:2019年8月24日 19時