1.宮ノ華 ページ3
「さぁ、よってらっしゃい、見てらっしゃい!一世一代の大捕物!宮ノ華はいかがですかい?」
喧騒の中。
ひときわ響く問屋の声に、栗色の髪の男は立ち止まる。
黒い隊服が風をはらんでなびく。
「…なんでィ、宮ノ華って?」
叫ぶ男に問いかけた。
低い声で、江戸っ子口調のその男に、
問屋は答える。
「おぉ!沖田の旦那。こいつぁ、すげぇぜ。美女だ、美女!」
「女かィ。…ちょいと見せてもらっても構わねェかィ?」
「おおっと!珍しいね?旦那が女に興味もつなんざ。」
「ああ。まぁ、見たくなっただけさ。目が確かなお前さんがそんなに言うたァ、どんな女か」
問屋の男は、「嬉しいやなぁ」とつぶやき、その先に女がいるであろう、布をめくった。
沖田は息を呑む。
白銀の髪、桃色の瞳、薄く紅をひいた唇。
何とも繊細な美しさが、そこにはあった。
「どうだい?旦那。買うかな?」
問屋の声で我に返り、沖田は咄嗟に言った。
「あ、あァ。買いまさァ」
女が目を見開く。
問屋も驚いて飛び上がる。
真選組一番隊隊長が、女を買った___。
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作成日時:2015年11月7日 15時