【inzm】雷門の天使様２ (ページ22)

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｢相手、野生中だろ？大丈夫かな……｣

　転入生かつ新入部員の土門には、思うところがあるらしい。

｢なんだよ、新入りが偉そうに｣
｢前の中学で、戦ったことあるからね。瞬発力・機動力とも大会屈指だ。特に、高さ勝負には滅法強いのが特徴だ｣

　染岡の威嚇に気を悪くした様子もなく、土門は野生中について話してくれる。まだ見ぬ対戦相手にビビったのか、壁山がトイレに行こうとするのを染岡が止めた。彼は図体はサッカー部の誰よりも大きいのに、人一倍小心者である。彼が怯えを乗り越えて一歩踏み出す時が成長の始まりだろう。

　閑話休題。

｢高さなら大丈夫だ！俺たちには"ファイアトルネード"、"ドラゴンクラッシュ"、"ドラゴントルネード"があるんだぜ！｣

　一本ずつ指を立てながら円堂が皆を勇気づけるものの、土門によれば、なんと野生中の身体能力ではこれら三つの必殺技ですら、高さで抑え込まれてしまうかもしれないという。

｢そんなわけないだろ｣
｢土門の言う通りだ｣

　染岡の反論の直後、豪炎寺が土門の意見に頷く声に、皆は目を向けた。

｢俺もあいつらと戦ったことがある。空中戦だけなら帝国をも凌ぐ。あのジャンプ力で上を取られたら……｣
｢そんな……｣
｢"ドラゴントルネード"が効かないかもしれないなんて……｣

　少林と宍戸が口々に弱音を零す。仕方の無いことだ。そもそもサッカー部としてまともに活動できるようになったのもつい先日なのに、試合の対戦相手が毎度強力なのだから。
　しかし、このような時でも熱く燃えたぎっているのが、我らがキャプテン円堂である。

｢新必殺技だ！｣

円堂の叫びに、全員が彼に向き直った。

｢新しい必殺技を生み出すんだよ！空を制するんだ！｣

こうして、彼らの特訓は始まった。

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