【utit】甘く甘く溶けるまで (ページ26)

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少し歩くと映画館へ到着する、そのままチケットを発券しポップコーンを売っているカウンターの前へ。

『Aちゃん、なんか食べる？やっぱポップコーンかなあ？』

「ポップコーン！」

『ふふその反応なら食べたいってことでええかな？、、すいませんこのポップコーンセットひとつください。』

「お味とドリンク、お伺いいたします」

『味か、、、Aちゃんどっちがいい？』

「え、うーん、、、塩もいいしキャラメルも捨てがたい、、、」

『んじゃあ、ハーフアンドハーフで！ドリンクは俺はコーラで、』

「え、あ！じゃあストレートアイスティーでお願いします」

テキパキと手際よく店員さんが用意してくれたトレーを受け取る。

「志麻くん、映画代と、ポップコーンと、払う、、、！」

『ええよ。ここは俺に払わせて？ほら、彼氏やし』

さらっと”彼氏”と言うワードを使うと大人しくなる彼女。行動ひとつひとつが可愛く思えてしまうのは俺がおかしいのだろうか。

予定通り、時間に余裕を持って席に着く。始まるまでポップコーンを摘んでいる。

その時、ポップコーンを摘もうとした手が触れ合いお互いの顔を見合わせる。おいおい、こんな漫画下ドラマみたいなシチュある？とツッコミを入れながら彼女に微笑むと彼女も少し恥ずかそうに微笑み返してくれる。側から見れば公衆の面前でいちゃつくカップル。でも当事者になればそんなことどうでもよくなった。

そんなこんなで本編開始。今人気の作品ということもあってかなり面白かった。予定していた”手を繋ぐ”という目標は達成できず。
ふと腕時計に目を落とすと予定通り12時半を指している。

『Aちゃん、お腹すいてない？こん中に美味しそうなカフェ見つけてんけど、、、』

「私もちょうどお昼の話しようとしてた！カフェ？行ってみたい！」

『ほんじゃあ決まりやな、ん』

そう言って今日会った時のように手を差し出すと今度は意味を理解した彼女はぎゅっと手を繋ぐ。今度は指を絡める。所謂恋人繋ぎ。すると隣に並ぶ彼女の頬はまた赤く染まった。初心な彼女が可愛くて堪らない。
そんな幸せな初デート。

fin.

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