【utit】甘く甘く溶けるまで (ページ15)

今日:6 hit、昨日:9 hit、合計:84,482 hit

めいちゃん × マジックページ15

貴女 side

『A、A〜♪』

語尾に音符をつけながら寄ってくるのは彼氏のめいちゃん。なあに？と振り返るとニコニコ笑顔のめいちゃん。ほぼ突進する勢いで私の隣に座ると突然私の目をじっと見ながら額に手を当てた。

『ゴホン……えーAさん。私が今からあなたの考えをこのハンドパワーで当てて見せましょう。それではまず、好きな果物を思い浮かべてください！』

といつもより低い声を作って言ってきた。

「果物？」

何が始まったのかと戸惑ったが、大人しくめいちゃんのいうことに従い好きな果物を思い浮かべた。

(いちご。いちご。いちご……)

『ふむふむ。あなたが思い浮かべたのはいちごですね！！』

「え！？すご、すごーい！！！なんでなんで？」

『それから……』

ヒョイ。

「ちょ、めいちゃん！？」

何が起こったのかふわりと身体が宙に浮いたかと思えば気づいたら私はめいちゃんの膝の上に向き合う形で座っていた。そのまま鼻が触れるまで近づき

『イチャイチャしたいな〜……って思ってる？』

なんて囁かれる。甘く脳みそまで溶けてしまいそうなほど甘い空気に絆された私は頷く。どちらからともなく唇が近づき何度もくっついては離れ、を繰り返す。ふと目が合えば照れまじりの笑みが溢れる。

「ね、なんでわかったの？」

そう尋ねたのは先程仕掛けられたマジックのこと。

『ふふ、マジックなんかじゃないよ。俺の経験則と記憶力。Aの好きなものは全部覚えてるよ。それからAちゃんはめいちゃんとイチャイチャしたい時に手をギューっと握る癖がありまーす』

そう言った彼はいたずらっ子みたいに少し照れて顔をいちごみたいに赤く染めてクシャッと笑った。

fin.